デブ全否定の彼からのモラハラ

スレンダーな女性が好みという彼は、街中でぽっちゃりしている人を見ると「うわー!見て、あの人ヤバイ」と他人を揶揄したり、細身の女性を見ると「お前もあんな風になってよ」などと言うタイプだった。

今思うともうその時点で一発アウトな人間性だが、A氏は何においても説得力のあるように話をするのが得意で、私を痩せさせようと、あらゆる言動でデブがいかに社会的に悪いものかという刷り込みをしていたのだった。

「はっきり言わないだけで、まわりの友達もみんなお前の事はデブでだらしないって思って見下してるはずだよ」「これはお前の為を思って言ってる」「人は中身が大事とか言うけどさ、本屋で本買うとき、色んな人が何度も開いてボロボロになった表紙のものより下の段から抜いた綺麗な表紙のもの買うだろ?それと同じで結局は見た目が大事なんだよ」「アメリカではデブは自己管理できない=出世出来ないってみなされるんだぜ」などという話をしょっちゅうしていた。さらに彼は私のスッピンが「ブスすぎて顔も合わせられないぐらいだ」と言い、必ずメイクをしろと言い聞かせてきた。

付き合った彼は体型を含め、外見について指示するモラハラ男だった。photo/iStock

最近よく問題視されている、youtubeの広告で流れてくるような、外見蔑視のルッキズムにまみれたひどい価値観そのものだった。A氏、お前だったのか。

私は彼の言う通りに自分のデブを嫌い、ダイエットに励み、髪をロングに伸ばして巻き、ファッションのテイストをギャルっぽいものに変え、アイプチや付けまつげをバチバチに使ったメイクで自分のブスな素顔を隠し、彼好みの理想の女性になるよう努力した。

当時は自分のことを『彼に尽くすのが好きなタイプ』だと思い込んでいて、彼もそんな私を見て喜んでいたが、今思うとただの操り人形だった。バイト先のおばちゃん達には陰で『シンクロ』というあだ名を付けられていた。シンクロナイズドスイミングばりにメイクが濃かったからだ。それでも私はブスと罵られた自分の顔にコンプレックスを持っていて、濃いメイクをやめられなかった。