菅新総理、「財務省の意向」に沿った〈財政均衡路線〉は確実だ…!

「消費増税」発言から見えること
加谷 珪一 プロフィール

そもそも消費税10%への増税を実現したのは安倍政権であり、これは財政分野における極めて大きな出来事である。日本は対外的に基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を公約として掲げており、10%への増税がそのカギを握っていたが、これを実現したのは他ならぬ安倍政権である。

それだけではない。安倍政権は財政上、消費増税に匹敵する極めて重大な施策を断行しているのだがお分かりだろうか。それは年金の減額である。

公的年金の財政状況は悪化しており、現役世代から徴収する保険料では到底、年金の給付をカバーすることはできなくなっている。公的年金は毎年約53兆円を年金受給者に給付しているが、現役世代から徴収する保険料はわずか37兆円しかない。残りは国庫などから補填、つまり税金で穴埋めしている。

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今の条件で年金給付を続けると、財政が破綻する可能性があるため、関係省庁は年金の減額を画策してきた。年金を減額するために作られたのがマクロ経済スライド(物価に応じて年金を増減する物価スライドとは別なので注意して欲しい)という仕組みだが、2004年に導入されたものの発動されることはなかった。

だが安倍政権になってから、2015年度、2019年度、2020年度と、次々と制度が発動されており、年金の本格的な減額が始まった。

年金の減額は、高齢者を中心に有権者からの反発が極めて強く、どの政権もこの問題に触れることが出来なかった。安倍政権だけが、制度の発動に踏み切ったわけだが、これによって年金財政をめぐる状況は180度変わったと考えてよい。日本の年金は現役世代から徴収する保険料で高齢者の年金をカバーする賦課方式なので、年金を減額し、現役世代から徴収した分しか年金を払わないようにすれば、制度は絶対に破綻しない(それで高齢者が生活できるのかは別問題)。

マクロ経済スライドが本格始動したことで、これから年金は次々と減額される。高齢者の生活は苦しくなるだろうが、財政上の負担は激減したといってよい。