菅新総理、「財務省の意向」に沿った〈財政均衡路線〉は確実だ…!

「消費増税」発言から見えること
加谷 珪一 プロフィール

世間では何かというと「解散」「解散」と大騒ぎするが、むやみに解散を望む政治家は少なく、菅氏も定石通り、解散権の行使には慎重だった(選挙には多額の資金が必要であることに加え、人も動員しなければならず、候補者には一般的なサラリーマンには想像もできないような大きな負荷がかかる)。ところが、議員を取り巻く状況はここ10年で大きく様変わりしており、特に選挙区の地盤が固まっていない若手議員を中心に解散を望む声が大きいとも言われる。

小選挙区になったことでイチかバチの勝負となり、緊縮財政によって予算を地元にバラ撒くこともできないので、当落は世論の雰囲気に大きく左右される。今のタイミングであれば、安倍氏への同情票も含め、勢いで勝利できる可能性が高く、追い風が吹く今のうちに選挙を行い、何とか議席を維持したいと考えているのだ。

 

実は安倍政権は徹底した財政均衡主義

菅氏がこうした党内からの声を受け入れ、リスクを取って解散権を行使するのであれば、それに見合った果実が欲しい。もし菅氏が、将来的に増税が必要と考えているのであれば、選挙に勝てる今の段階で増税を明言してしまい、後の政権運営を楽にしようと考えても不思議はない。

安倍氏が健康上の理由で辞任したことが原因なのか、自民党への支持は急上昇している。解散しない場合でも、消費増税に言及したことが支持率の低下にはつながらないと判断したのは間違いないだろう。

では、菅氏は財政政策について、安倍氏の意向とは180度違った路線を歩もうとしているのだろうか。筆者はそうは思わない。

世間では安倍氏は財政当局と真っ向から対立し、緊縮財政からの転換を試みているというイメージだったかもしれないが、現実はその反対である。歴代の政権の中でも、安倍政権ほど財政均衡に積極的で、財政当局の意向を反映してきた政権は見当たらない。