初心者でも出来る! 暗示で心を操るための「催眠術」入門

催眠は「かかる側」の能力である
漆原 正貴 プロフィール

催眠にまつわる誤解を解く

そもそも催眠とは、一体どのようなものなのでしょうか。
自分の体験上、「催眠」という言葉を聞いてどんなイメージを思い浮かべるか尋ねると、このような答えが返ってくることが多いです。

a: 催眠にかかると眠ってしまう
b: 催眠中は自由意思がなくなり、催眠術師に操られてしまう
c: 催眠によって前世の記憶が思い出せる
d: 催眠中に起こったことは全て忘れてしまう
e: 催眠とはオカルトや超自然的な現象の類である
f: 催眠とは「催眠術師(催眠をかける人)」の備えた能力である

これらの答えは全て、間違ったものです。催眠については正しい理解よりも誤解のほうが遥かに広まっており、場合によってはネガティブなイメージが伴っていることも少なくありません。

催眠には怪しいイメージがつきもの......(photo by iStock)

それでは、催眠の「正しい理解」とは何なのか。

催眠を私なりに定義すると「知覚や感覚、感情に関して、何か変化が起こるという期待があったときに、実際にその変化が実現する現象」のことです。

「手が動くかも」と期待していると、実際に手が動き出す。

「立てないかも」と期待していると、本当に立てなくなる。

そのような現象が、催眠の本質です。

先に挙げた誤解の裏を返せば、催眠は以下のような特徴を備えています。

A: 催眠とは、睡眠とはまったく異なる状態である
B: 催眠中も催眠を体験する人の意思が失われることはなく、嫌なことは実現されない
C: 催眠によって思い出せるのは、本人の記憶のある範囲のことに限る
D: 催眠中の記憶喪失は極めて稀である
E: 催眠は心理学や医学などの学問領域で実践・研究されてきた現象である
F: 催眠とは「被験者(催眠にかかる側)」の備えた能力である

特に最後の、催眠が「かかる側」に備わった能力であるということは、何よりも重要で、意外な事実です。
しかし多くの人が想像する催眠術師は、いかにも怪しく、何かの能力を持っているように見えます。実はこれにもまた、歴とした理由があるのです。