菅義偉新総理は「令和の竹下登」だと言い切れる4つの理由

再び「縮小期」の呼び水となる運命か
近藤 大介 プロフィール

3)内向き志向の守りの政権

前述のように、竹下政権は一応、「中曽根政治の継承」を標榜していたため、中曽根政権がやり残した消費税(売上税)の導入を実現させた。だが、「日本を不沈空母にする」とアメリカに豪語したほど「外向き志向」の中曽根首相に対し、竹下首相は完全に「内向き志向」の政治家だった。

竹下政権のスローガンは、「気配り調整」である。「ふるさと創生」と称して、全国3245の地方自治体すべてに一律1億円を配った(後に関係者に聞いたところでは、竹下首相は一律1000万円以下を提案し、梶山静六自治大臣は一律10億円を提案したため、折衷案として1億円となった)。

中曽根首相と同様、長期政権を築いた安倍首相もまた、「外向き志向」の政治家だった。第1次政権では「自由と繁栄の弧」を、第2次政権では「地球儀を俯瞰する外交」を掲げ、「外向き志向」が鮮明だった。

第1次政権で、のべ20ヵ国・地域を訪問し、第2次政権では、のべ176ヵ国・地域も訪問している。合わせてのべ196ヵ国・地域に及び、単純比較すると、国連加盟国の193ヵ国よりも多い。

それに対して、先週のこのコラムでも述べたが、菅義偉新総裁は、完全な「内向き志向」の政治家である。菅氏は9月2日の総裁選出馬会見で、自己のこれまでの政治家としての実績を二つ挙げていたが、それは次のようなものだった。

〔PHOTO〕Gettyimages

「その1つの例が洪水対策のためのダムの水量調整でした。長年、洪水対策には国交省の管理する多目的ダムだけが活用され、同じダムでありながら経産省が管理する電力ダムや農水省の管理する農業用のダムは台風が来ても事前放流ができませんでした。

このような行政の縦割りの弊害を打ち破り、台風シーズンのダム管理を国交省に一元した結果、今年からダム全体の洪水対策に使える水量が倍増しています。河川の氾濫防止に大きく役立つものと思います。

もう1つの例は携帯電話の料金であります。国民の財産である公共の電波を提供されるにもかかわらず、上位3社が市場約9割の寡占状態を維持し、世界でも高い料金で約20%もの営業利益を上げております。私がおととし携帯電話料金は4割程度引き下げられる余地があると表明したのも、このような問題意識があったからであります」

このように、完全に目線は「内向き」なのである。菅氏はさらに、こうも発言した。

「地方から都会に出てきている人たちの多くは生まれ育ったふるさとになんらかの貢献をしたい、またふるさとの絆を大切にしたい、そうした思いを抱いているに違いないと考え、かねて自分の中で温めていた『ふるさと納税』というものを成立させました」

 

まさに、竹下政権の「ふるさと創生」に重なるのである。