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ミヤシタパーク登場で際立った、渋谷の老舗百貨店の「寂れっぷり」

再開発で「山手外側」は生まれ変わるか
山中 健 プロフィール

あっという間に古く見えてしまう

好景気型と不景気型の開発は、施設の作り方やデザイン、テナントミックスが大きく異なる。好景気型はデザイン優先で、商業としては使いにくいものが多い。また、テナントに選ぶ業種業態も国内外の観光客向けが中心。言ってみれば「一回行けば十分」というものだ。

その一方、不景気型は商業として使いやすい施設の作りが特徴。テナントも近隣住民や就業者ニーズに対応したものだ。日本は本来、インバウンドよりも国内需要が大きい市場であるため、インバウンド向けの商業施設や好景気型商業施設は少なくなかったし、あっても上手くいかず閉店に追い込まれてきた。

徐々に人出は戻りつつあるが/photo by gettyimages
 

そのため今回の渋谷エリアの商業施設開発では、インバウンド消費の中でも手堅いホテルを組み入れたり、周辺就業者に対応し施設や店舗を導入したりした。

そのあたりのさじ加減が日本らしい絶妙なものであったのだが、コロナ禍はその対策さえも敵わないものであったのだ。世紀に一度あるようなものではないパンデミックが、半世紀に一度の大イベントを襲ったのだから無理もない。

それではコロナ禍が収まったとして、渋谷の商業施設はこれからどのようになるのであろう。渋谷の再開発はこれで終わりではなく、大規模な渋谷駅桜丘口開発が控えており、渋谷西武周辺のエリア開発も話題にのぼっている。

世の常として、新しいものができるとそれまであったものは古く見える。いわゆる「心理的陳腐化」というものだ。渋谷再開発の先駆的存在だった「ヒカリエ」も、開業から8年が経ち、早くも「古参」な印象を抱く人もいるかも知れない。ここ数年にオープンした商業施設も、大きく路線変更したり、淘汰されたりしていくだろう。

では、その中で生き残ることができる商業施設の特徴は何か。筆者は、以下のふたつの要素が重要だと考えている。

●足元商圏の生活者から厚く支持されている館
●非競合ゾーンにある館