早生まれは不利、なのか…? 「生まれ月格差」の驚くべき実態

数字が示すこと
山口 慎太郎 プロフィール

その背景を探るために、子どもたちが学校外でどのような活動をしているのか、また、級友や先生との関係についてどのように感じているかについても分析を行った。これらはいずれも、認知能力と非認知能力の発達に対して影響をもつと思われる。

分析の結果、学校外での学習時間と読書時間については、早生まれの子どもたちほど長いことがわかった。通塾率も同様で、早生まれのほうが高い傾向にある。これらの活動は、学力向上に役立つと考えられ、早生まれの子供とその親は、その不利を跳ね返すための努力を行っているようだ。

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一方、屋外での遊びやスポーツへの参加、塾以外の習い事については、早生まれの子どもたちの参加率が低いことが明らかになった。学校外で使える時間とお金には限りがあるから、上の結果ともうまくつながる。いくつかの心理学研究によると、スポーツや音楽、芸術などの活動は非認知能力の発達に寄与する可能性がある。早生まれの子どもたちは、こうした活動にあまりかかわっていないために非認知能力が低くなってしまっているのかもしれない。

さらに、友人、あるいは先生は自分の良いところを認めてくれていると思うかといった質問に対しても、生まれ月の差が見られた。早生まれの子どもたちほど、こうした人間関係について悲観的な回答をしている。この事実自体、憂慮すべきものだが、非認知能力は人間関係から形成される部分があるとすると、非認知能力の発達に長期的な悪影響がおよぼされていないかが気がかりである。

私たちの分析結果は、生まれ月格差が大人になっても残ってしまう理由を知る手がかりを与えてくれる。早生まれの子どもたちは学業面で努力することで学力差を縮めている。しかし一方で、非認知能力を伸ばすような活動が不足したり、人間関係に恵まれなかったりすることで非認知能力の差がなかなか埋まらない。これが、大人になってからの所得差につながっている可能性がある。

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