早生まれは不利、なのか…? 「生まれ月格差」の驚くべき実態

数字が示すこと
山口 慎太郎 プロフィール

まずは学力と年齢の関係について見てみよう。グラフの横軸には年齢を月単位でとっている。グラフの縦軸は算数の学力だ。設計を工夫することで、異なる学年や調査年の間でも、学力テストの結果を比較可能にしてある。この手法は「項目応答理論」という理論にもとづいたもので、TOEICなどでも採用されている。ひとつひとつの点は、生まれ月ごとの平均点だ。学年ごとに記号と色を揃えている。


(図2)年齢が上がるにつれて学力は上昇【出所】Yamaguchi, Ito, and Nakamuro (2020)注:縦軸の単位は標準偏差

図2から明らかなように、年齢が上がるにつれて学力も上昇している。また、中2と中3の違いに見られるように、学年の切れ目で大きく学力が向上する場合もある。

しかしここで何より注目してほしいのは、学年内の違いだ。どの学年で見ても、年長の子供ほど成績が良い傾向が見られる。小4では最大で偏差値3.5の格差があるが、これは学年が上がるにつれて小さくなり、中3になると最大でも偏差値1.5の格差に抑えられている。ここでは算数・数学の結果を示しているが、国語でも英語でも同様だ。こうした傾向は、世界中で報告されており、研究者の間ではよく知られている。

 

非認知能力にも格差が…

次に我々が検証したのは非認知能力についての生まれ月格差だ。非認知能力とは、学力や頭の良さ(認知能力)とは別に、ある目的を達成するために必要な心理的特性の総称である。非認知能力は将来の学業成果や所得などと関連があるため、近年、社会科学でもその有用性が認識されるようになってきている。この調査では、統制性、自己コントロール、自己効力感について、質問紙を通じて測定している。質問に使われた文言は、調査年、学年を通じて統一してある。

(図3)学年内の年長者ほど非認知能力が高い【出所】Yamaguchi, Ito, and Nakamuro (2020)

測定された3種類の非認知能力のあいだで分析結果に大きな違いはないので、自己効力感についてのグラフ(図3)のみを示す。グラフの横軸は年齢(月齢)で、縦軸は自己効力感を指数化したものだ。学年が上がるにつれて、非認知能力が下がるという結果はちょっと意外に感じるかもしれないが、海外でも思春期に見られる傾向として知られており、特におかしなものではない。

注目してほしいのは学年内における差だ。どの学年についても、相対的に年長の子ほど高い非認知能力をもっており、その差は偏差値換算で最大1程度だ。また、気になるのは、学年が上がっても、非認知能力の差が縮まっていかない点だ。

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