早生まれは不利、なのか…? 「生まれ月格差」の驚くべき実態

数字が示すこと
山口 慎太郎 プロフィール

注目したのは学力だけでなく、統制性、自己コントロール、自己効力感といった心理的な特性だ。これらは非認知能力ともよばれ、将来の学業成果や所得などとも関連があることが知られている。また、学力や非認知能力の形成がどのように行われてきたかを理解するために、学習時間、塾や習い事、そして級友や先生との人間関係についても調べている。この私たちの研究について解説するのが本稿の目的だ。

研究の中身に入る前に、これまでの研究結果を踏まえて私が訴えたいことを明らかにしておきたい。それは、生まれ月による格差はやむを得ないものでも正当なものでもなく、是正すべきということだ。生まれ月の格差は人間が決めた制度によって生じたものであり、人間の手で歪みを正すことができる。完全な解決は難しくとも、格差縮小を目指すべきだ。具体的な解決策については、本稿の終わりで議論したい。

〔PHOTO〕iStock
 

また、生まれ月格差の存在を知ることで、早生まれの子どもを持つ親御さんの中には不安を抱く方もいるだろう。しかし、生まれ月による差というのは社会全体としての傾向であり、個人差のほうがはるかに大きい。社会の様々な場面で、早生まれの人々は活躍しているし、有名人の中にも身近な人の中にもそうした例を見つけることはできるだろう。

親としてすべきことは、子どもの適性をしっかりとみきわめて、その子の個性を最大限伸ばすように心がけることだ。気をつけなければいけないのは、身近な他の子どもたちと比べて叱ってしまったり、勉強に追い立てたりすることだ。一学年下の子どもと比べたら大したものだ、と思うぐらいでちょうどよい。子どもの成長を妨げず、良いところを伸ばしていけば、生まれ月による差はいずれ気にならないものになるはずだ。

本題に戻ろう。私たちの研究では、関東地方のある自治体で行われた調査から得られたデータ4年分を分析している。その自治体の公立学校に通う小4から中3までのすべての子どもたちが対象であり、のべ100万人超の巨大なデータセットを得ることができたため、精度の高い分析ができた。

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