稲垣来泉ちゃんのメッセージに涙
個人的なことを書かせていただくと、私にとって、春馬くんは「ミューズ」的な存在だった。
「ミューズ」はもともとギリシャ神話の「女神」のことだから、男性に使うのは語弊があるのかもしれない。
が、私の創作活動に影響を与えてくれたという意味では、確かに「ミューズ」だったのだ。
私は小説を書くときに、必ず自分の中でイメージキャストを決めて書くのだが、いくつかの作品の男の子のキャラクターは、勝手に春馬くんをイメージさせていただいている。
その容姿はもちろんのこと、まっすぐで、純粋で、少しだけ影のある雰囲気が、私のイメージするキャラクターにぴったりだったのだ。
最初に惹かれたのは、春馬くんが16歳くらいの時。
まだあどけなさの残る少年の頃から、誠実に役に取り組む春馬くんを見てきた。
真摯に役を生き、その中で恋をし、人を愛し、悩み、苦しみ、輝く姿を見てきた。
少年から大人へと変貌する過程を、役者としての着実な進化を、その努力が花開いていく様を、一方通行とはいえ、ずっと見守ってきたのだ。
だからこそ、春馬くんの突然の死に対するショックと喪失感は大きかった。
「どうして?」「どうして?」……と、心の中で虚しい問いかけばかりを繰り返してしまう。
自分でも不思議なくらい、いつまでも悲しみから抜け出せなかった。
しかし、昨年放送されたドラマで春馬くんの娘役を演じた稲垣来泉(いながきくるみ)ちゃんは、自身のInstagramに、春馬くんへのこんな想いをつづっている。
「映画リメンバーミーで
人は人に忘れられない限り ずっと生き続けていると知りました。
だから ずっと生き続けています」(@kurumi_inagakiより)
この9歳の女の子の言葉に、ハッとさせられた。
そう……。
いつまでも悲嘆に暮れて立ち止まっているよりも、残された私たちにできる最善のことは、春馬くんを忘れずにいること。
春馬くんの遺した「作品」を観て、彼の「生きた証」を心に刻むことなのではないだろうか。