# 北朝鮮

金正恩、ここへきて北朝鮮の命運を握る「究極の選択」に苦悶するワケ

これが「終わりの始まり」かもしれない
鈴木 衛士 プロフィール

新型コロナ感染下でも強行したい理由

自衛隊の観閲式を参考にすると、約1ヵ月前までには全ての行事を「概成」させ、1か月前からは本番と同様のスケジュールで「総合予行(リハーサル)」を数回実施し、あとは微調整のみというような流れになる。

北朝鮮の場合には、民間人(朝鮮労働党員)なども参加するので、規模もより大きく、総合リハーサルも2、3回では済まないだろう。これを考えると、今次の軍事パレードはかなりタイトなスケジュールになっているものと推察される。

これに加えて、9月になってから台風が2回にわたって襲来し、各地域に甚大な被害をもたらして党員や軍を導入する事態(細部は後述)となっている。これにより、党や軍の上層部は、大規模な災害派遣と閲兵式(軍事パレードの執行)の執行(準備を含む)という2つのオペレーションを同時にこなさなくてはならなくなってしまった。

そもそも、北朝鮮における新型コロナ拡散状況の実態は不明であるものの、金委員長の現地指導を受けている役人らがマスクをしていることからも、未だ感染のリスクがなくなっているわけではなく、今回の軍事パレードは中止にしても良かったはずである。

 

それでもなお、このパレードを強行するのは、「わが国に科せられた経済制裁や世界に拡散している新型コロナは、党や精強な朝鮮人民軍には何らの影響も及ぼしておらず、国防は万全で国家は盤石である」、ということを内外に誇示するのが目的であろう。

同時に、何よりも日米韓に対して、パレードのしんがりで新型の短距離弾道ミサイルや長距離弾道ミサイル(ICBM)を顕示して、核抑止力をアピールする狙いがあるものと思われる。場合によっては、開発中の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「北極星3号」を本パレードで公開するかも知れない。