9月3日の昼ごろ、産経新聞の電子版は「香港で日本人逮捕か」というタイトルで記事を掲載した。この事件に注目したのは日本のメディアだけではなく、複数の香港メディアがこの事件について記事を出している。
このケースを通じて、日本のメディアがニュースの当事者が「日本人」であることにどのようにこだわったのか、また香港メディアは日本のメディアの報道に対してどのように対応したのか検証したい。
今回の「日本人逮捕」について最初に報じたのは産経新聞電子版で、9月3日の昼ごろのことだった。
「香港で日本人逮捕か」というタイトルで記事が出たが、その文末に「か」とついているのは、まだ確認中の情報だったからであり、記事中には「在香港日本総領事館が確認を急いでいる」とも記述されている。
この記事は逮捕されたとみられる男性が「反政府デモの写真などを撮っていたフリージャーナリスト」で8月31日以降Facebookを更新していないことも記している。
香港での一連の反体制運動やそれに対する香港政府・中央政府の動きに関する報道で、日本メディアが香港・欧米・中国政府系メディアよりも早く報道するケースは非常に限られている。
日本メディアは独自で香港の著名な民主活動家や政治家にインタビューすることはあるが、即時性の高いニュースについては基本的には香港メディアに出てきたニュースを引用することが多い。
しかし、今回は例外的でこの「日本人逮捕」のニュースは日本人に直接関わることであったためか日本のメディアである産経新聞が最も早く報じた。産経新聞は香港に支局を持たないが、新型コロナウイルス感染拡大以前から香港に滞在している記者がおり、その記者が今回の記事も執筆している。