松浦さんの考える“地球のこと”は水質汚染にとどまらない。2年前にはサロンの電力を100%自然電力に切り替えたそう。

原宿にあるサロンはオープンして30年目。モデルや俳優からも信頼されている。

「やってみたら簡単で、自然電力会社のホームページから申請した後、東京電力に電話を1本するだけだったんです! 電気料金も1ヵ月で1万円近く安くなり、今では自宅にも自然電力を導入しています」と満面の笑み。

サロンの屋上にコンポストを置いたり、10年以上前からヘアドネーションをサポートしたり、児童養護施設の子どもたちにカットモデルになってもらう「be project」に参加したり。驚くほど視野が広い。その考えの根底にあるのは、ヘアケア商品のシリーズ名でもあるエピキュリアン(快楽主義者)の思想だ。

「この思想を生んだ哲学者エピクロスは『われにパンと水さえあれば、神と幸福を競うことができる』と言ったそうです。真の幸福は、多くを所有していることではない。これが快楽主義の本当の意味。

大切なものは何か?と考えたら、さほどはなくて、私にとってはヘアスタイルで自由に自己表現をしながら、地球と共に生きていくこと。そのためにできることを模索しているんだと思います」

松浦さんが今、挑戦しているのは水を汚染しないパーマ液やカラー剤を開発すること。松浦さん自身はヘナで髪を染めているが、発色には限界がある。より豊かな表現ができ、かつ、水を汚さない薬剤を作りたいという。

「急いではいません。簡単ではないとわかっているので。持続可能の“持”を“自”に変えて、できることを続けていく。健康と美容と環境。この3つはきっと共存できるはずです」

PROFILE

松浦美穂(まつうら・みほ)
美容師、ヘアメイクを経て渡英。帰国後、1990年に東京・原宿にヘアサロン「ツイギー」設立。2003年、ヘアケアブランド〈AVEDA〉の日本上陸に伴い、アーティスティックディレクターに就任。11年オリジナルのヘアケアブランド〈ユメドリーミン〉発表。美容、健康、環境を意識したプロダクト開発やサロン経営を続ける。

●情報は、FRaU2020年8月号発売時点のものです。
Photo:Keiko Ichihara Styling:Yui Otani Illustration:Amigos Koike Text & Edit:Yuka Uchida

 

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