テレビはいつから「オワコン」になったのか。『こち亀』に見る昭和〜平成のテレビ史

稲田 豊史 プロフィール

新規性を失ったテレビ

2000年代前半までのテレビ業界は隆盛を極めており、広告費や視聴時間、若者に与える影響や流行の発信源という意味では、まだまだネットに取って代わられていなかった。が、「初物好き」の『こち亀』としては、飛びついて面白がれるほどの新規性を、90年代末以降のテレビからは見出しにくくなっていたようだ。

98年19号「体を張ったアルバイト!!の巻」(110巻)で両津がお笑い芸人スチャラカ鼻子と共に出演するロケ番組は、いたって普通。99年22・23号年号「部長の家族幸せ計画!!の巻」(115巻)で部長がピアノ演奏にチャレンジするのは、『しあわせ家族計画』(1997年4月30日〜2000年9月27日放映、TBS系)そのままの内容。01年40号「幻の“神の舌”の巻」(128巻)で中川が地方の郷土料理を賞味するロケや、04年34号「やけの大食い!?の巻」(142巻)で両津が出演するフードバトル番組も、当時よく見かけた番組フォーマットの借用だ。

〔PHOTO〕iStock
 

2000年代前半には、『爆笑オンエアバトル』(NHK)、『エンタの神様』(日本テレビ)、『M-1グランプリ』(朝日放送)などがお笑いブームを牽引。これを受け、『こち亀』でも漫才フィーチャー回が何度か描かれたが、追認以上の何物でもなかった。

むしろ、ある時期以降の『こち亀』は、テレビ(ギョーカイ)批判に注目したほうが楽しめる。

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