テレビはいつから「オワコン」になったのか。『こち亀』に見る昭和〜平成のテレビ史

稲田 豊史 プロフィール

深夜帯と「カルト」全盛の90年代

90年代に入っても、テレビメディア自体の勢いは衰えていなかったが、感度の高い若年層の間には、新しい潮流が存在感を放ち始めていた。深夜番組である。

特に1990年代前半はフジテレビの深夜番組黄金期と呼ばれ、『カノッサの屈辱』『カルトQ』『新しい波』『とぶくすり』『殿様のフェロモン』『Mars TV』『天使のU・B・U・G』等、実験的でクセのあるテイストや過激さを追求する番組で百花繚乱だった。

 

中でも1991年10月22日から1993年3月28日にフジテレビ系で放送された『カルトQ』は、特定分野における超絶難易度の問題を、その道に通じた選りすぐりのマニアックな人間が回答し、視聴者がそのあまりにも偏った知識量に呆れ、喝采する番組であった。と同時に、「マニアックであること」が「変人」としてディスられるのではなく、一定の社会的価値を帯びる気運のはしりにもなった、と言えるだろう(ただし、この時点ではアニメ等の「オタク」ジャンルを除く)。

92年20号「駄菓子屋カルト王(キング)の巻」(79巻)で登場した深夜番組『ナイト野郎倶楽部』は『カルトQ』的なノリが意識されているが、そもそも『こち亀』は80年代前半より、プラモデルやバイクやモデルガンといった分野で容赦ないマニアックを追求し、アカデミックに解説し、自虐的に呆れ、おもしろがっていた。その意味で『カルトQ』のスタイルは、むしろ『こち亀』の後追いである。

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