脳科学・AI研究者である黒川伊保子さんの『妻のトリセツ』は、妻と夫の思考や行動の違いをユーモラスかつ的確に解説し45万部を超えるベストセラーとなった。黒川さんの最新刊『女と男はすれ違う! 共感重視の「女性脳」×評価したがる「男性脳」』では、大人の女性が人生をしなやかに切り開く方法を、脳科学の立場からわかりやすく説いている。今回は本書から女性の立場から「異性の上司に弱点を突かれたときの切り返し術」について抜粋して紹介しよう。前回紹介した記事でも、黒川さんは「男性脳と女性脳が存在するかといえば、しないともいえるし、するともいえる」と語る。ただ、ものの見方の「違い」を認識するだけで、モヤモヤを回避し、対処するヒントがはっきり浮かんでくるのだ。

男は共感なんかしてくれない

我が家の夫は、私が気持ちを吐露すると、「なんで?」と聞く。「なんで、そうなったの?」とか「なんで、そう感じるの?」という意味らしい。

私「今日、こんなことがあったの……《中略》……というわけ」
夫「ふ~ん」
私「ふ~んじゃないよ、ひどい話じゃない?」
夫「なんで?」
私「なんで!? 私は親切のつもりだったのに、逆恨みされたんだよ?」
夫「きみも、口の利き方がなぁ」
私「なによ、それ!」

あ~、こうして、事例として書いていても腹が立つ。我が家の夫に自分に起きた「とほほ」を話すと、たいていこの展開なのだ。

ただ共感して欲しいだけだったりするのだが…Photo by iStock

男は「素早い問題解決」のために会話する

なぜ、男性脳は、共感をしてくれないのだろうか。

実は、男性脳は、女性脳ほど共感を必要としていないのだ。「共感」を知的行為のために使うのは、女性脳の専売特許。男性脳は、会話において、共感よりもまずは問題解決をしようとしている。しかも最短時間で。

長らく狩りをしてきた男性脳は、最小コストで成果を挙げる能力を進化させてきた。何か事が起こったときの思考のスタイルは、基本、問題解決型。当然会話もそうなる。だから、妻に「腰が痛くて」と言われたら、いきなり「医者に行ったのか」「医者に行け」とか言うのである。

男はよく、「女は、転びそうになって、転ばなかった話とかするだろう。あれ、なんなんだろう」とか言う。
確かに、「今朝、地下鉄の階段で、つんのめって転びそうになっちゃって」「え、転んだの?」「ううん、別に」なんて言われたら、男性脳的には、何の意味もない会話なんだろうなぁ。解決すべき問題が見つからないのだから。

女同士なら、「あ~、それ怖いよね」「うん、怖かった」「気をつけなきゃね~」「ほんとね~」なんて共感し合って、脳神経回路のストレスを軽減させてもらるのに。女は、共感してもらってほっとする。そのために、自分に起こった出来事を垂れ流すようにしゃべるのだ。