9月21日 ドイツの病理学者カール・エーベルト誕生(1835年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1835年の今日、チフス菌を発見したドイツの病理学者カール・ヨーゼフ・エーベルト(Karl Joseph Eberth、1835-1926)が誕生しました。

 

フランクフルトにほど近いドイツ中部の都市・ヴュルツブルクで生まれたエーベルトは、解剖学で大きな業績を収めていたアルベルト・フォン・ケリカー(X線写真を「レントゲン」と呼ぶよう提案した人物です)に師事しました。

エーベルトが精力的に研究したのが腸チフスです。

腸チフスは高熱や腹痛をもたらす感染症の一種で、衛生環境の悪い地域で流行しやすい病気です。エーベルトがチフス菌を発見したことにより、古代ギリシャの時代から人類を悩ませてきた病気の正体がわかったのです。19世紀はコレラ菌や結核菌などの病原菌が次々と発見された時代であり、欧米では公衆衛生の改善に意識が向けられ始めました。

ニューヨークに住んでいたメアリー・マローン(Mary Mallon、1869-1938)という女性は、一風変わったチフス患者でした。彼女自身は健康を害さないままに、関わった人にチフス菌をうつす「無症状患者」だったのです。検査によってチフス菌の保菌が確認されるや否や、メディアは「アメリカで最も危険な女」「チフスのメアリー」などと書きたて、彼女は隔離病棟に閉じ込められてしまいました。

「個人の自由」と「公衆衛生」が相反する場合に我々はどうすべきなのか? いまだに答えの出ない難しい問題です。

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