2019年の夏、スウェーデンを一緒に旅した写真家の在本彌生さん、イラストレーターの塩川いづみさん、菓子研究家の長田佳子さん。数日間滞在して、3人がしみじみと感じたのは、SDGsという概念が当たり前のように根付いていること。

特に注目したのは、「政治と市民が近い」「自然が身近な暮らし」「社会の器が大きい」「男女平等」「無駄を出さない」という点。それらについて3人の視点から、それぞれの言葉で綴ってもらいました。

人も自然の一部と感じられる
環境があることが羨ましい

塩川いづみ Izumi Shiokawa
イラストレーター。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。広告、雑誌、書籍装画、プロダクトなどを中心に活動するほか、作品の展示発表も行う。主な仕事にCLASKA Gallery&Shop“DO”のオリジナル商品「SWAY」「MAMBO」、やまと「DOUBLE MAISON」のイラストレーションなどがある。
shiokawaizumi.com

今回、マルメに住んでいる友人の家に泊めてもらったのですが、彼女曰く、人口の少なさが政策のフットワークの良さにつながっているとのこと。政治が市民の声と直結していれば、みんな自ずと政治に興味を持つし、自分のこととして考えられるのだろうなと感じました。積極的に移民を受け入れているとも。彼らに労働力になってもらうために語学学校は無料だとか。

長田さんと塩川さんは、マルメに住む友人の家にも滞在。「オーガニックアイテムは日本より日常的な価格でした。その商品の良さが理解されていて、たくさん流通することで買いやすい価格になっているみたい」と長田さん。

また、離婚も多いし、同性のカップルも、人工授精で子供を持つ人も多いので、学校にはいろんな環境の子供たちがクラスにいますが、偏見もないとのことでした。街中では、男性がベビーカーを押している姿が本当に多かった。聞けば子育ては男女が50:50でやっているそうです。それゆえにどの家も家族のために時間を割きすぎて、大人だけで外食するような時間がないくらいだとか。

マルメにはセカンドハンドのお店がとても多く、ほとんどのものが新品ではなく中古で揃います。買い物袋ももちろんリサイクル。お水を大事にするので食器は水道水をザーザー出さず、流しの溜め水にしばらく浸しておいてから洗います。スーパーの野菜や果物が過剰に包装されていないのも良いです。ビオのお野菜は皮やタネなどを燃料に変えられるらしく、それ用に分別していました。

都会のストックホルムでも、東京のように整地された公園だけではなく、歩いて行ける距離に森があり、家族で自由にハイキングをしたり湖に入ることが特別なレジャーではなく、日常とひと続き。人も自然の一部と感じられる環境があることが羨ましいですね。

みんな穏やかで、
生命全てが輝いていると感じました

長田佳子 Kako Osada
foodremediesという屋号で活動する菓子研究家。パティスリーやレストランで経験を積んだ後、YAECAのフード部門、PLAIN BAKERYを経て独立。心と身体に優しく寄り添うお菓子は、ひと口食べるとほっとする味わい。著書に『foodremediesのお菓子』、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』などがある。
foodremedies.info

スウェーデンはとにかく人の表情が穏やかで、社会の器の大きさを端々に感じた。自然が身近にあり、週末には情報や刺激を求めるよりも、森や湖に出かけ、家族や友人とゆったりすごすことを楽しんでいる。

秋にはリンゴンベリーや、キノコを採りに出かけるけれど、翌年のために採りすぎないように皆それぞれに心配りがあり、生態系やサイクルが崩れることはないのだとか。私たちは、1年に一度のささやかな喜びが、何百年先もあるようにと、次世代の幸せを考えたことがあるだろうか。私たちもそうあるべきだと思った。

マルメという街で見かけたのは、ドライフルーツやナッツなどを量り売りしていて、持参した容器に入れて持ち帰ることができる店。日本ではたくさんの決まりがあるけれど、多くはクレーム前提のような気もする。安全は大事だけれど、疑う矛先が自分だったり、目線を地球に向けることができればよいかもしれない。

スーパーなどの店舗でもレジや陳列のシステムは最小限で、空調も過剰ではなく、身体が疲れなかった。これらの無駄のなさも含めて、北欧のデザインの美しさというものに初めて気がついた。

スウェーデン旅の目的の一つは、ローゼンタールのベーカリーでのインターンシップ。

市民と政治が近いということも感じた。住民の声がすぐ市長さんに届いて改革に取り組んだり、環境を考えた反対意見があるときは企業とも話し合うそう。だから税金がすこし高くても苦ではなく、未来のためと考えているみたい。