証券会社を続々退職!「トップ営業マン」たちの「転身先」

彼らが参加する「IFA」説明会の実態
浪川 攻 プロフィール

金融業界に蔓延する深刻なギャップ

大手証券で異動のないFA(ファイナンシャル・アドバイザー)職から異動のある総合職の営業担当に転じたという男性は、「まだ(転職を)決めたわけではないが、IFAにはかなり興味はある」と話してくれた。

「FA職から総合職に替わったのは、さまざまな職場を経験することで、いままでと違った視点が見つけられるかもしれないと思ったから。しかし、転じてみても、結局、高い営業目標を与えられるだけで、それに追いまくられる日々に変わりはなかった

一方、大手証券地方支店の中核として働いている30代の男性は、「IFAへの転身は、自分の中ではほぼ決めている」と真剣な面持ちで心のうちを明かしてくれた。

「いまは支店の課長職にある。支店長は珍しく理解のある方で、私があえて部下に営業目標を課さないやり方を貫いていることを認めてくれている。しかし、会社はそうではない実際、本部からはいろいろとプレッシャーをかけられる

おそらく、彼は優秀な営業社員なのだろう。話はきわめて理路整然としていて、説得力のある話しぶりである。

昔の価値観から脱却できないでいる経営者とその取り巻き的な本社エリートたち、そして、「ノルマがすべての原動力」という旧態依然とした営業スタイルで成功してきた営業部門の幹部たちと、日々の仕事の中で伝統的なノルマ営業に疑問を深め、その限界を感じている営業現場の若手社員たち――。

彼の話からは、証券ビジネスのみならず、日本の金融業界のリテールビジネス領域で蔓延している世代間ギャップ、本部と営業現場との深刻な認識ギャップが浮かび上がってくる。

 

止まらない人材の外部流出

楽天証券はIFA説明会を基本的に毎月開催している。場所は東京に限らない。関西や中京地域の月もあるし、オンライン開催も行っている。

平均すると、毎回30名ほどの参加者があるという。証券会社の社員だけではなく、銀行や保険会社の社員たちも集まってきて、多い時は業種別に部屋を分けることもある。

主催者側のこの説明に誇張は感じられない。とすれば、数年前に見学、取材した時よりも、IFAへの転身に意欲を高める証券会社社員たちの数は確実に増えている。裏返していえば、証券業界などの営業現場では若手の外部流出がとめどもなく広がっていることになる。

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しかも、この日の参加者たちの熱心さ、真剣さは、以前のそれとは比べ物にならなかった。人的規模もテンションもレベルアップしているように感じられた。

「デジタル革命によって、証券業界の営業現場に人的資源は不要になる」

金融とIT技術を融合させた「フィンテック革命」の信奉者は、対面証券の危機を予想し、「証券会社は大規模なリストラが避けられない」と煽り立てるメディアもあるが、それ以前に、証券業界の水面下では「営業現場のメルトダウン」という強烈な危機が静かに進展していたのだ。

はたして、その真相はどこにあるのか。

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