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証券会社を続々退職!「トップ営業マン」たちの「転身先」

彼らが参加する「IFA」説明会の実態
いま、大手証券会社を辞める営業マンが後を絶たない。退職後、彼らはどこで何をしているのか。その行方を追ってみると、IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)に転身している人が多いという。はたして「IFA」とは何なのか。楽天証券が開催する「IFA説明会」の様子を『証券会社がなくなる日――IFAが「株式投資」を変える』(講談社現代新書)の著者・浪川攻氏がお届けする。

IFAの取り込みを狙うネット証券

東京都と神奈川県を隔てる多摩川――その東京側の川べり近くの世田谷区玉川に、高層の商業ビル、オフィスビルが立ち並ぶ一角がある。日本最大のeコマース、楽天グループが新興ビジネス集団に相応しく、この新たな商業エリアに本拠地を移転させたのは数年前のことだった。

2020年1月中旬の土曜日、朝から小雪まじりの悪天候の中を、東急田園都市線二子玉川駅から楽天グループ本社に向かう人たちがいた。グループ企業の一社、ネット専業証券大手の「楽天証券」が開催する「IFA説明会」に参加する人たちである。

二子玉川駅近くの楽天本社(Photo by gettyimages)

楽天証券は「ネット証券事業」に並ぶもう一つの柱として、IFAに対して証券発注システムなどを貸与する「IFA支援サービス」を行っている。

優秀で志の高いIFA予備軍を発掘し、自社と提携するIFAを育成していくことは、同社の事業発展のカギを握っている。その一環として注力する取り組みの一つが、この「IFA説明会」なのだ。

参加者は、IFAに関心を抱き、転身を考えている証券会社などの現役社員である。楽天証券ホームページのお知らせや人づての情報などから説明会の開催を知り、参加の申し込みをした上で訪れる。

これらの人たちに対して、同社は「IFAとは何ぞや」というそもそも論から、そのビジネスの仕組み、さらには同社が描いている理想のIFA像まで、さまざまな情報を提供する。

実際にIFAに転じた元証券会社社員たちも登壇し、日々の仕事ぶりやそこから得られた実感などを説明する。

 

リアルな情報に乏しいIFAの実態

IFAに関しては証券ビジネスの専門書などにも米国の事例などが記載されているが、リアルな情報は乏しい。同じ職場からIFAに転じた元同僚に話を聞けても、それは一例に過ぎない。

日本における、いわば、和製IFAの実情と全体像をリアルに知る機会は決して多くはない。その意味で、こうした説明会は貴重な機会といえるだろう。

実は筆者が同説明会を見学するのは、この日が初めてではなかった。2014年ごろにも数回、参加者に交じってその雰囲気を直接、肌で感じ取ったことがある。

当時、IFAはまだ現在ほど知られる存在ではなく、経済メディアの記事に登場することもあまりなかった。

参加してみると、平日の夕刻、仕事帰りの時間帯に、東京・丸の内のオフィス街からも徒歩圏内の有楽町駅前に立つオフィスビルの一室で開いていた説明会には、毎回20~30人ほどの人たちが参加していた。

しかし、今回は年明けから半月ほどしか経過していない休日の開催である。仕事帰りの片手間に「ちょっと立ち寄ってみようか」というような軽い動機で参加できるものではない。

しかも二子玉川は東京の中心地から離れており、お世辞にも立地に恵まれたエリアとは言えない。おまけにこの悪天候である。

率直に言って、「参加者はいるのだろうか」と訝っていたのだが、その予想は大きく外れた。