体重減少は症状が現れ始めた後から

そこでかかりつけの医院に「足の動きがおかしい」という事で血液検査をしてもらったところ、CK(クレアチンキナーゼ)の数値が高いことを指摘されてMRIのある病院に紹介状を書いていただいたのです。このCKの値が高いという事は「筋肉に炎症を起こしている」という事で、良く運動をする人や足がつった(こむら返り)後も上がる数値です。しかしながら基準よりはるかに高く、それが継続していて運動能力が落ちたりしている時には、しっかりと検査をしたほうがいい判断基準になります。概ねの血液検査でも表示される項目です。

他の項目が悪い数字でなかったので、この炎症を起こしている要因が運動能力・歩行困難につながっているのだと思いました。ALSの特徴でもあるのですが、「他の項目では悪いところがない」ということが多いのです。

他に悪い所がないからこそ、病名判明には時間がかかった Photo by iStock

このとき、炎症を起こしたために筋肉が減り、体重が落ちているのではないかと思い、なるべく食べるようにしました。それでも全然体重は増えませんでした。増やそうと努力しているのにすぐに60キロを割りそうになり、61キロ前後を行ったり来たりが続きました。足の筋肉が落ちる感じがはっきりと自覚出来、足全体が細くなってきました。右腕の可動域がおかしく感じてきたのも、はっきりとした体重減少を感じていたこの時でした。

その割にはお腹がポッコリと出る感じがして、それが嫌で少し食べるのを控えると、すぅ~っと体重が落ちるのです、そしてお腹に力が入らなくなるようになり、歩きにくくなる。ですからお腹が出たとしても食べている方が良いと思って頑張って食べるようにしました。

何よりも困るのが、筋肉量が落ちてくるとお腹で声が支えられなくなってきて「声の響きがなくなってくる」ということです。5月の脚の違和感もそうだったのですが、筋肉が減っていると感じ始めた頃からのお腹の支えの弱さが気になりました。声は声帯だけで出しているわけではなく、全体バランスや腹筋や腹圧や横隔膜の支えで出すのです。筋肉量が減り呼吸器官の状態が悪くなるALSは、確かに声が出にくくなり、呂律も回りにくくなるなど、症状が出やすいのだと思います。この頃は体重が減ることだけはよくわかっていたので、とにかく筋力低下を食い止めるためにもしっかりと食べるように心がけていました。

何とか頑張って8月の検査入院の時には60キロを維持していました。