ALSの特徴とは
ALSに罹患するとどんなことが顕著に起こるのか?
多くの人が知っているALSの患者さんは、ベッドに横たわっていて喉には呼吸器がつけられ、口からはチューブが1本か2本つながっていて、真顔の表情である場合が多いのではないでしょうか。また外出時と思われる場合も、車椅子に乗っていて同様な感じという印象だと思います。それは間違いというわけではありませんが、それはALSという難病がある程度進行し、落ち着いた状態なのです。
ALSと言う難病は健常な状態から、筋肉などの萎縮や減少が始まります。感覚や神経は問題ないままに徐々に手や足が動かなくなり、呼吸をする筋肉も衰えるために気管切開をしたり呼吸器をつける事で安定をさせるという経緯をたどっていきます。つまり、いきなり冒頭のような状況になるわけではないのです。時間を経てその状態になっていく病気で、治療法が発見されていない「難病」であり「残酷な病気」として知られているのです。
健康な体からALSという病気の症状がスタートするのですが、様々に進行度合いは枝分かれしていき、その時間のかかり方もバラバラです。色々と顕著な特徴があるのは確かなのですが、個人差があるのも事実なのです。
ではぼくの場合はどうなのか。今回はALSと告知されてから1年弱で分かった事や体感したことをお話しようと思います。
筋肉が減少すると動けなくなり、体重が落ちる
ALSで良く知られている症状のひとつに、体重の減少があります、このおかげで私もずいぶんと振り回されました。
体重減少は他の病気でもありますが、ALSの大きな特徴は「運動能力が落ちる感覚」と共に「筋肉が減少していくから体重が落ちる」ということが如実に実感できるのです。
どこかが痛いとか、体がだるくなるとか、めまいがするなど、他の大病の際の症状とは一線を画し、内臓的な具合の悪さや血液的な問題は無いにもかかわらず、「足が動かなくなる」「手が動かなくなる」「表情筋や呼吸の状態が悪くなり呂律が回らなくなる」といった症状が表れた上に体重が減っていきます。
その実感は体重計に乗ると如実に確認することが出来るのです。「名無しの権兵衛の病名を見つける」という検査入院の時も、「大きな腫瘍をとにかく摘出」という手術入院の時にも、ぼくが気にしていたことの1つは「体重管理」でした。この時に思っていたのは「とにかく減らさないようにする」ということ。なぜなら体重が減るイコール筋肉量が減ると思っていたからでした。