祇園祭にみる街づくり

京都市をフィールドにSDGsを発信する「京都産学公超SDGsプロジェクト」。それを推進するメンバーの一人で産官学民・多世代連携によるSDGs実現に向けてさまざまな取り組みを行っている京都大学大学院の浅利美鈴准教授に伺った祇園祭に見る持続可能性とは?

お話を伺ったのは……

浅利美鈴 Misuzu Asari
京都大学大学院地球環境学堂准教授。ごみや環境教育を研究テーマとし、京都大学のエコキャンパス化にも取り組む。「びっくり! エコ100選」や「3R・低炭素社会検定」「びっくりエコ発電所」「エコ~るど京大」などを立ち上げ、社会にムーブメントをおこすべく、環境教育や啓発活動・情報発信にも力を注いでいる。

祇園祭に宿る伝統と誇り、
コミュニティの中の多様性

京都の人は、「こんちきちん」というお囃子が聞こえてきたら、「ああ、夏だなあ」と感じます。京都の夏の風物詩でもある祇園祭は、1151年前に始まったとされる八坂神社の祭礼。京都が盆地で高温多湿の土地であること、梅雨の長雨で鴨川が氾濫したこと、建都により人口が集中したことなどによって、平安京では毎年のように疫病が流行していました。

当時の人々はこれを“怨霊の仕業である”と考え、疫神や死者の怨霊を鎮め、無病息災を祈念するために神泉苑にて御霊会を行ったのが祇園祭の起源と言われています。私は、この祇園祭を古くから続くSDGsのモデルとして捉え、「こんちきジーズ」というプロジェクトを立ち上げ、学生や市民の方々の参加型で勉強をしています。

そもそも京都という街は、1200年余りもの長い間、環境と都市がバランスをとって持続してきました。そんな街は、世界中を見ても京都だけかもしれません。その意味では、京都市の京北地域は重要な里山。桓武天皇が平安京をつくるとき、木こりを送り込んで木材を切り出してきた場所です。街には自然の資源が必要だから、木を切り出すだけでなく、植林をして山を育てる。そういう知恵が深く根ざしているんですね。

今、SDGsという共通言語ができて、京都はその先進都市であると言われていますが、昔からやってきたことが、持続可能な街づくりのポイントだと。私たちは京都を“超SDGs(SDGsを超えている)”と言っています。

その最たるものが、誰ひとり取り残さないというキーワード。というのも、京都にはずっと住民自治の伝統があり、地域の人たちが自主的に組織し、街づくりをしてきました。時に封建的と感じられる部分もありますが、困ったときにこのコミュニティが役に立つ。その一例が祇園祭だと思います。

門川京都市長とSDGs勉強会をしているなかで、あるとき祇園祭こそSDGsと言われて勉強し始めてみたら、その理念や継承、変遷は、まさに持続可能性を考える上での示唆に富むものでした。一般的には、神輿渡御や山鉾巡行、宵山の賑やかな雰囲気など観光的にも見どころは尽きず、華やかなお祭りだと思われがち。でも、改めて見直してみると、学ぶことが本当に多いんですよ。