森岡 アイウエアというのは、かけたときに、瞳の位置が真ん中にあるのがいいと思っている人が多いようです。が、実は6対4くらいで、少し上の位置にあるほうがいいんです。
一同 へえ、初めて聞きました。
森岡 そして、フレームの上に眉がなじむくらいがいい。日本人は目と眉の間隔が広いのですが、そこも、しっかり計算しつくされています。
中野 横顔の美しさにこだわっていらっしゃると。実際にどこから見ても美しく見えるようなつくりなんですね。

360度どこから見ても美しい。一昨年から海外への展示会にも参加。ベルリンで、海外でどう見えるかを知るための撮影から。
「生活の中で自然にとけこんでいる撮影」にこだわり、スタイリストをつけず、ベルリン在住の方で着用撮影。

森岡 女性は、カチューシャのように頭にサングラスをよくのせたりするけれど、逆に、そういうのはどうも似合わない。

中野 横にブランドロゴがこれみよがしにあるわけではないし、本来のアイウエアの目的以外の行為は、似合わないようにできていますね。

――ケースも美しく折りたためるようになっていて、内側も特注の菖蒲(あやめ)色です。
森岡 プロダクトだけでなく、その周辺、隅々まで世界観が徹底している、というのも、やはりファッション関係者に支持される理由のひとつでしょう。それは、これからのラグジュアリーに求められる必須の条件になる。そのものだけというより、その世界観をまといたい、共有したいという時代です。

PROFILE

中野香織(なかの・かおり)
服飾史家・エッセイスト。母校の東京大学非常勤講師、英国ケンブリッジ大学客員研究員を経て服飾史家として研究・執筆・講演で活躍。2001年~2017年明治大学国際日本学部特任教授。現在、株式会社Kaori Nakano代表取締役として企業のアドバイザーを務めるほか、昭和女子大学客員教授。日本経済新聞、読売新聞ほか新聞・雑誌など連載多数、著書多数。

森岡弘(もりおか・ひろし)
ファッション・ディレクター。早稲田大学在学中より「メンズクラブ」の編集者として従事。出版社退社後、クリエイティブオフィスGLOVEを設立。アーティストから企業家まで幅広くスタイリングを手がけるほか、企業ユニフォームのデザイン、アパレルブランドのディレクション、広告ビジュアル、雑誌のファッションディレクションなど、幅広い分野で活躍。