カシミヤと同等の超極細繊維のスーパー180'sウールを使⽤し、贅沢に⾼密度の二重織りに織り上げたブルゾンとスカートのセットアップ。ブルゾン¥120000、スカート¥64000
ペルー産の最⾼級原料である希少性の⾼いロイヤルベビーアルパカを贅沢に100%使⽤した透け感を楽しめるニットタートル。スカートは上質なラムウールとリサイクルカシミヤを混紡したフラノ地に、ポリウレタンシートをラミネートした今年らしい素材がユニーク。リバーシブルで着用可能。ニット¥24000、スカート¥46000

これからのものづくりはロマン主義

――イチからの素材作りに重きを置いてものすごく贅沢な素材なのに、手に取りやすいプライスも愛される理由の一つです。

中野 素材を深く研究されていて、素材の産地に飛んでいくなどプロセスも手が込んでいます。もっとプライスラインを上げても世界で戦える品質だと個人的には思います。熱心でオタクっぽいんだけど、謙虚さのある姿勢を感じる。それがまた愛されるところでもあるんでしょうね。

森岡 本当その通りだなと思います。機能性や低価格だけを突き詰めていくと(製造から販売まで一貫して行う)SPAブランドなどとは勝負できない部分もあるので、そのブランドにしかできない徹底的なこだわりを追求したものづくりを業界としてバックアップしていくというのが日本全体にとっても良いと思いますね。

中野 これからのものづくりはロマン主義を極めるしかないと思っているんです。自分のコアな思いやこだわりを徹底的につきつめ、そのブランドだけの世界を築き上げ、それで勝負するという意味で、ロマン主義者になるというか。もう、そういったものを、思いを持つ人それぞれが作っていかないと本当に社会がすさんでいって、将来砂漠になってしまうような気がしています。なので、オーラリーさんには、ぜひ、ぐっとプライスをあげたラグジュアリーなものづくりにも挑戦してみてほしいです。もちろん、機能性・低価格のものもあっていいですが、それとは別次元でロマン主義製品が必要です。

――それがゆくゆく日本のファッション業界に発展にもつながるということですね。
中野 そう思います。もちろん、今のプライスにもこだわりがあると思いますので、高級なアイテムも作りつつ、同じ品質だけど価格を抑えたものの両方を作るのがいいと思います。ただ、それをやるときに注意しなければならないのが、品質を落としたセカンドラインになってしまってはいけないということ。それでは大衆化してしまうので、あくまで今のものづくりの姿勢はそのままで、究極の高級なコートも作りながら、手が届きやすい2万〜3万で買えるTシャツもあるというのが良いと思います。

森岡 それはすごくステキですね。(デザイナーの)岩井さんにはぜひそういった海外ブランドのような提案をしていただきたいですね。手の取りやすい価格プラス、すごく高いものが一緒に並んでいるというのが面白いと思います。
中野 私は日本にももっとロマン主義者を増やしたいです。そういう人たちが生きやすい社会になるといいと思う。なので、ぜひオーラリーにはその一端を担っていただけるといいですね。

オーラリー 
https://auralee.jp/

PROFILE

中野香織(なかの・かおり)
服飾史家・エッセイスト。母校の東京大学非常勤講師、英国ケンブリッジ大学客員研究員を経て服飾史家として研究・執筆・講演で活躍。2001年~2017年明治大学国際日本学部特任教授。現在、株式会社Kaori Nakano代表取締役として企業のアドバイザーを務めるほか、昭和女子大学客員教授。日本経済新聞、読売新聞ほか新聞・雑誌など連載多数、著書多数。

森岡弘(もりおか・ひろし)
ファッション・ディレクター。早稲田大学在学中より「メンズクラブ」の編集者として従事。出版社退社後、クリエイティブオフィスGLOVEを設立。アーティストから企業家まで幅広くスタイリングを手がけるほか、企業ユニフォームのデザイン、アパレルブランドのディレクション、広告ビジュアル、雑誌のファッションディレクションなど、幅広い分野で活躍。

Text:Nirai Ikeshiro