森岡 年齢で切っていないマーケティングですよね。それは本当に正しくて、その思想は共感される。若い人と年を重ねた人でオーラリーを手に取るアプローチは違うと思いますが、それは、服に奥行きがあって色々な人に語りかけているのではないでしょうか。着た人が主役という感じがします。

中野 エイジレスはラグジュアリーの絶対条件だと思います。20世紀的なラグジュアリーブランドも対象年齢は出さなかったですから。20歳が着ても、60歳が着てもステキに見えるというのがラグジュアリーブランドであり、この路線はオーラリーも受け継いでいますね。また、力が抜けている、脱力感があるんですけれども、手抜き感が一切ない、というのを強く感じます。それもラグジュアリーの条件でもありますよね。
森岡 そうですよね、「脱力」と「手抜き」はまったく別物ですものね。
中野 ゆるい感じはあるんですけれども、それは決して手抜きではない。意図的にそんな風に見せているなと感じます。

さらっと袖を通せる日常着でありながら、こだわりぬいた素材を贅沢に使い、“ありそうでないここにしかない色”を組み合わせることで、エレガントな服を提案。

ストリート感があって、こぎれいな日常エレガンス

――オーラリーは“エレガンス”をブランドキーワードに掲げています。この世代の男性デザイナーでエレガンスを推しているブランドは珍しいと思うのですが、そこについてはどうでしょうか。

中野 たしかに、30代のデザイナーがエレガンスという言葉を使うというのは新鮮ですね。
森岡 エレガンスのとらえ方は人それぞれ。時代とともに徐々に変わってきているという気がするのですが、オーラリーの言うところのエレガンスとは、日常のエレガンスなのかもしれないなと。ブランドにストリート感はあるけれど、こぎれいに見えますし、現代的なエレガンスだなと僕のアンテナには感じますね。

中野 エレガンス(elegance)の語源には、「選び抜くこと」という意味があります。エリート(elite)や選挙(election)も同じ根から派生している言葉。素材からはもちろん、プロセスそのものが選び抜かれたものの積み重ねである、という意味では、エレガンスを感じますね。

オーラリーには品のいい色をつくるという軸があり、コンサバティブでないカラーパレットを追求。素材に合わせたスモーキーでフェード感のある中間色が特徴的。

浮つきを感じさせない、絶妙な「くすみ色パレット」

――今期はレディスの服作りにおいて、いつもよりさらにフェミニンな印象を意識しているそうです。
森岡 色のパレット的には必ず墨が何滴かおちているようなくすみがあるので、どの色をとっても組み合わせやすいと思います。そうすると、スタイリング一辺倒ではなく自分流に作れる。シルエットもすごくよくできているのでレイヤードも楽しいし、そういうのはすごく今どきな感じがしますよね。適度にアバンギャルドだし。

中野 私は、浮つきのなさ、を感じます。オーラリーは色の発色が特徴的ですよね。基本的にはベーシックな色なのだけれども、はっきりと何色とは言えない、絶妙に違いが出ているような色。あまり柄も使わないし、そのあたりは浮つきがないなと。20世紀的な男女のフラーティング(駆け引きや戯れ)みたいなものが一切感じられないといいいますか。

――たしかに、フェミニンなんだけれど、決して「媚び」は感じないですよね。
中野 その駆け引きのなさが浮つきのなさに通じると思います。オーラリーを着たカップルがデートしているシーンを想像すると、まじめに日本の未来を語っていそうな気がします(笑)。そういったところも現代的ですね。