謎めいた友人からの連絡

Twitter上の友人・シズカさん(仮)が、九州から東京に引っ越してきたという。同じボーイズラブ作品が好きという縁で10年ほど前に知り合った彼女は、私がそのジャンル用のアカウントでする萌え話には積極的に乗ってくれるが、自分の身の回りのことを話さないタイプだ。住んでいたのが九州だというのも、初めて知った。

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私が登壇したトークイベントに来てくれたことはあったし、記事や書籍の感想をくれたりもするのだが、知人の中でも、一番謎めいた人かもしれない。せっかくなので、オンラインでおしゃべりしませんかと誘ったところ、こんな返事がきた。

「ひらりささん、この間『テレビの貯蓄特集で、出てきたシングルマザー女性の手取り年収が180万円だった。労働者って本当に使い捨てられている』というツイートをリツイートして、『そんなことになっているのか…』と書いていましたよね。その時メンションしようか悩んだんですけど、私の去年の手取り年収が、まさに180万円だったんです。

フルタイムで働いてこんな金額、公正じゃないなと私も思うんですけど、地方の非正規にとっては普通の金額で、うちの地方ではむしろ高い方でした。……なんてことを急に書いてごめんなさい。都会に住んでる方からすると絶対驚くことなので、ひらりささんのツイートは当然だなと見ていました。

で、せっかくお会いするなら、『手取り年収180万円だったけれど、300万円貯金して上京した話』を取材してもらえませんか。ちょうど一区切りついたので、自分でも誰かに話がしたいなと思って」

たしかに数ヵ月ほど前にそんなツイートを見かけ、驚きのコメントをしてしまったことがあった。かなり反射的に感想を呟いてしまったのだが、当事者からしてみれば「現実」でしかない話だっただろう。バツの悪さを感じたが、だからこそ、これを機にシズカさんの半生をぜひ知ってみたいとも思い、取材の時間を取らせてもらった。

ソルトレークシティ五輪の熱量で

九州で育ったシズカさんは、現在38歳。今は東京の大手IT企業の派遣社員として、経理に関わる業務を行っている。時給は1800円で前職より600円上がった。額面での月収は27万円、手取りでは21万円ほど。実家に住んでいた時と違い、家賃と生活費がかかるが、月6万円の手ごろなアパートを見つけたため、十分賄えている。

ずっとアルバイトと派遣社員を渡り歩いてきたシズカさん。高校卒業後は、一人暮らしをして大阪の大学に通っていたということだが、就職活動で志望業界などはなかったのだろうか。