ともに人気原作ながら『半沢直樹』と『SUITS』に約3倍の大差がついた理由

ドラマにおける原作選びの難しさ
木村 隆志 プロフィール

痛かった「放送強行による中断」

その他の脚本・演出に目を向けると、『SUITS/スーツ』は2年前の前作放送時から、アメリカ人エグゼクティブ風の会話や、浮世離れしたゴージャスなオフィスとファッションなどに対する否定的な声が目立っていた。

「アメリカ人視聴者のようにそれらを楽しむ」というより、「日本人視聴者はそれらを受け入れるか、スルーできなければ物語を楽しめない」というハードルとなっていた感があるのだ。

とりわけ現在はコロナ禍で世の中が重苦しいムードで覆われているだけに、『SUITS/スーツ2』の世界観に違和感を抱く人が増えていても無理はない。ストレスがたまる日々の中、エグゼクティブたちのスタイリッシュな会話やオフィス、ファッションは「ただ鼻につく」という“間の悪いドラマ”になってしまったのかもしれない。

フジテレビはコロナの影響をもろに受けてしまった/photo by gettyimages

一方、『半沢直樹』は重苦しいムードを吹き飛ばすエネルギーと爽快感を前面に押し出している。結果的にコロナ禍だからこそ、それらが際立つドラマになっており、こちらは“間の良いドラマ”と言えるだろう。

もう1つ『SUITS/スーツ2』がコロナ禍の影響を受けたのは、第2話での放送中断。4月20日に第2話が放送されたあと、第3話の7月27日まで3ヵ月以上ものブランクが発生してしまったのだ。しかし、これはコロナ禍による「不運」というより、人的な「判断ミス」に近い。

同じシーズン2が放送された『半沢直樹』『ハケンの品格』『BG~身辺警護人~』は初回放送を延期し、スタート後は中断せずに放送を続けて好結果を引き寄せた。言わば、「『SUITS/スーツ2』だけが強引に第1・2話を放送して失敗した」と言われても仕方がないだろう。

 

早々の放送中断によって、バラエティ出演の少ない織田が積極的に行っていた番宣の効果が薄れたほか、再開の1週前に“第1・2話の合体特別版”という中途半端な形で再放送して世帯視聴率も7.3%に留まるなど、チグハグな印象を与えてしまった。

『SUITS/スーツ2』の中断時に代替放送された『鍵のかかった部屋』『やまとなでしこ』のほうが世帯視聴率は高く、ネット上のコメントも活発だったことが何とも皮肉だ。