# 格差

「10万円」給付金、なぜか「もらえなかった人たち」のヤバすぎる真実

ベーシックインカムの「落とし穴」が…
竹信 三恵子 プロフィール

「一律給付」から外される人々

一方、同アクションへの相談では、生活保護を受けに行ったら、無料低額宿泊施設に入ってからでないと支給できないと言われた例も少なくない。その中には、相部屋への入居を求められ、感染か生活保護かで悩む例も目立った

ベーシックインカム(BI)のような一律現金給付には、こうした行政の押し付けを避け、現金を使って当事者が好きな住まいを選べる利点がある。

定額給付金が持つそんな長所を生かしたいと、8月の政府交渉集会で同アクションは、役所や支援者が住んでいる場所を把握・確認すれば、住民票なしでも給付金を支給できるよう要請した。「住民票がなければ住んでいない」わけではないからだ。

だが、政府側は「二重給付の恐れがあるので住民票要件は外せない」と回答した。

 

貧困問題に取り組んできた小野順子弁護士は、「戸籍がないために住民票が作れず特別定額給付金を支給されない方の相談を受けているが、同じ自治体で生活保護を20年間利用されている。住民票がないから二重給付というのはありえない」と話す。

実は、「二重給付の恐れ」があっても支給を認めた例がないわけではない。

たとえば、DVから逃げていて住民票を実際の住居に移せないでいる場合には、今の仮の住所でも定額給付金を申請・支給できるという柔軟な方策が取られている。ここでは、夫などが先に給付金を取得して二重給付になった場合は、後で非当事者に返還を求めるという方針が出された。

DV被害者には元の住民票があり、路上生活者にはそれがない(または、見つけられない)点が異なるとの見方はできる。だがそこには、世論や政治判断の影も見て取れる。

DV被害者については「全国女性シェルターネット」などによる女性団体の粘り強い支援活動が各地で展開され、中・上流家庭での被害者も少なくない中、その保護には社会的な合意が形成されてきたからだ。

裏を返せば、「守るべき人」という社会的合意が形成され切っていないがゆえに過酷な位置に置かれている人々ほど、「一律給付」から外される恐れがあるとも言える。その結果、深刻な困窮者は「一律給付」に含まれにくくなる。それがBIの第2の死角だ。