# 格差

「10万円」給付金、なぜか「もらえなかった人たち」のヤバすぎる真実

ベーシックインカムの「落とし穴」が…
竹信 三恵子 プロフィール

ベーシックインカムの「死角」

原因のひとつは、2000年代から激しさを増してきた公務員削減で福祉行政が極端に弱まっていたことにある。つまり、コロナ以前から多くの自治体で、困窮者が給付にアクセスするために不可欠な「人的支援」が機能しにくい状態に追い込まれていたということだ。

「アクセスくらい自己責任でしょ」と思う人もいるかもしれない。だが、コロナ禍の下では、「自己責任」を発揮したくてもできない状況が展開している。

7月、同アクションの瀬戸事務局長の支援に同行した。その携帯にひっきりなしにかかってくるSOS電話に対応し、そのつど車で相談者のもとに駆け付ける支援方法だ。

ここでは、「所持金が60円」「もう100円しか手持ちがない」という30~50代の働き盛りの人たちに次々と出遭った。いずれも不安定な派遣労働者として働き、コロナ禍で契約を打ち切られたり、業界での仕事そのものがまったくなくなったりして収入が途絶え、家賃も払えなくなった人たちだった。

 

政府のコロナ感染対策によってネットカフェなどの寝場所を追い出され、東京都心の路上で待ち合わせた派遣労働者もいた。携帯電話代が払えないため相談自体ができず、公共機関にたどりついて電話を借りた人もいた。

所持金をはたいて何とか福祉窓口に出かけたものの、相談者がいっぱいで「今日中には対応できない」と言われ、同アクションの相談電話を紹介された人もいた。

ベーシックインカム(BI)については、「現金の一律給付によって公的福祉サービスは不要になるので財源は公務員の削減でまかなえばいい」とする意見が少なくない。だが一連のできごとは、「現金の一律給付」がもっともそれを必要とする最困窮者に届くには、公的な人的支援の充実が不可欠なことを示唆している。

BIの第一の死角がここにある。