上司が何回注意しても、新卒23歳の部下が同じミスを繰り返した理由

大口の取引先を激怒させたことも…
村上 伸治 プロフィール

佐々木さん本人ではなく、先輩が彼の仕事の進捗状況やスケジュールを管理してあげるのも効果的だ。苦手な部分は周囲が補い、長所を伸ばしたほうが、職場全体としてもうまくいくのではないだろうか。

一方、佐々木さん本人がすべき努力もある。手帳を首から下げスマホのアラームを多用して、可能な限り自分でスケジュール管理を試みる、2時間毎に先輩か上司に仕事の進捗状況を報告してチェックしてもらうなど、具体的な解決案を提示した。毎日助けてもらうのだから、自分ができることや得意なことで周りの人にお返ししなくてはいけない。

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以上のようなことを話したうえで、上司に尋ねてみた。

「上司の方がわざわざ一緒に来院される患者さんは、受診後に少しずつ状況が改善する人が多い傾向があります。今回あなたが、佐々木さんと一緒に来ようと思ったのは、部下である彼に期待しているからではないですか?」

すると上司は「そうなんです。時々うまくスイッチが入ると、集中してしっかりと仕事をします。その姿を見ていると、能力は結構高いんじゃないかと思うんです。しかしそれを自分で伸ばそうとしていないように見えるので、こちらも歯がゆいんです」と言う。

「ほら、上司は佐々木さんが伸びる可能性を感じているみたいですよ。だからここに連れて来た。その期待に応えたくはないですか?」と佐々木さんに聞いてみると、彼は「そうだとわかって、良かったです。僕はダメな奴だと見放されていると思っていました」と述べた。

その後、職場での佐々木さん

佐々木さんの症状自体が変わることはないが、周囲が協力してくれたことで、3回目の受診以来ミスは半分以下に減っていったという。先輩たちも「世話は焼けるけど、優しく言えば注意を素直に聞いてくれるので、可愛い後輩だ」「毎日、何かしらやらかして、笑わせてくれる」とポジティブに捉えるようになっていった。