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菅義偉政権で「スマホ選挙」に乗り出す公明党・創価学会の憂鬱

首相交代・深層レポート【後編】

きょう開票される自民党総裁選で、新総裁として選出される見通しの菅義偉官房長官。その権力基盤のひとつが、全国的な「集票マシーン」である公明党の支持母体・創価学会だ。

かねて菅官房長官との「蜜月」を誇ってきた創価学会だが、ここにきて大きな転機に差し掛かっている。「菅政権」での自民党と公明党の関係性はどう変化するのか。その深層をディープな取材で読み解く。

公明党を救った「菅の剛腕」

公明党の支持母体である創価学会は、会員数827万世帯を公称するが、かつて900万票近かった得票数は近年減少の一途を辿っている。前回2017年の衆院選では700万票の大台を割り697万票まで減らしたほか、昨年の参院選ではさらに653万票まで減少させている。

こうした事情から、最近の国政選挙では、公明党は選挙区の候補者についても自民党の支援を仰ぐケースが増えている。

2016年と2019年の参院選で公明党は過去最多の7選挙区に候補者を擁立したが、多くの選挙区で苦戦が予想された。そのため、自民党候補と競合するにもかかわらず、情勢が厳しい5選挙区の公明党候補に自民党から推薦を出してもらい、実際に首相の安倍晋三や官房長官である菅義偉の応援も仰いだ。地元の自民党組織は当然のことながら猛反発したが、それでも自民党の推薦が得られたのは、公明党との太いパイプを持つ菅の尽力抜きには考えられない。

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さらに政策実現でも公明党は菅の剛腕に助けられた。その典型は先述した軽減税率の実現だったが、それだけではない。

創価学会の選挙運動は、投票日の半年ほど前から様々なスケジュールを組み、組織内に候補者の名前や政策を浸透させた上で学会員以外の票を獲りに行かせる緻密な運動だ。そのため、次の衆院選がいつになるのかという情報は極めて重要になる。菅が官房長官の立場に長く居たおかげで、学会は最も機微に触れる解散情報にもいち早く接することができたのだ。

公明党が維新と対立し、公明党が候補者を立てる関西の6選挙区に維新が対立候補を立てる構えを見せた2014年衆院選の際は、学会が菅に維新との「手打ち」を頼み、維新は菅の要請に応じて候補者を取り下げてもいる。仮に維新が候補者を立てていれば、公明党はかなりの選挙区で議席を失っていた可能性が高い。

第二次安倍政権発足後の8年近く、一貫して首相官邸で権力を振るっていた菅との密接な関係は、学会にとって極めて大きな意味を持っていた。そして、学会が今の路線を維持する以上、次の政権でも菅に政権中枢に居続けてもらうことが何より重要になっている。

ある学会幹部は、「ポスト安倍」に向けた動きが活発になり始めた今春、「岸田(文雄政調会長)さんは政策的にうちに近いし、石破(茂元幹事長)さんの中学生時代の家庭教師は地元鳥取県の学会幹部だったという縁もある。どちらでも悪くはないが、『菅首相』が一番いいかどうかは別にして、菅さんには次の政権でも政権中枢にいてもらう必要がある」と率直に語っていた。