ビジネス化する「新型出生前検査」、無認定施設が急増している深刻な事情

市場原理と医の倫理を考える
柘植 あづみ プロフィール

出生前検査の遺伝カウンセリングは、検査前の説明もさることながら、「陽性」の結果が出た人にいかなる遺伝カウンセリングを提供し、つぎにどうするかの意思決定をサポートすることが重要である。

その大事な点を欠いたままで検査を提供するのは、医療機関としての責任が問われる。医療に市場原理を持ち込むなと言うのではない。ビジネスにも倫理があるように、医療サービスを売るには倫理が必要だろう。

その上、新型出生前検査は精度が高いものの、「擬陽性」(検査結果が「陽性」とでて胎児に検査対象の疾患があるとされたが、実際にはない場合)、「擬陰性」(検査結果が「陰性」とでて胎児に検査対象の疾患がないとされたが、実際にはある場合)が一定の割合存在する。その説明を丁寧にしないと、次の行動の判断が適切にできないことがある。

新型出生前検査でわかる病気はごく一部である。NIPTコンソーシアムがおよそ4年半の結果を集計しているが、そのうち「陰性」の結果がでた人の約8割を追跡調査したところ、NIPTでわかる病気以外の病気や障碍が見つかった事例や、胎児の発育不全や子宮内での死亡例が報告された。それらを合わせると、「陰性」という結果がでた人のおよそ4%に胎児になんらかの異常が見つかったことになる。

遺伝カウンセリングがなければ、対象外の病気についての説明もなされない。

 

何が新型出生前検査の問題なのか

出生前検査をすることについては長いあいだ「いのちの選別」という批判がなされてきたし、いまもある。

それには歴史的な経緯も絡む。第二次世界大戦後に優生保護法を存続させて、特定の病気や障碍のある人に子どもを産ませないようにした政策、そして、「不幸な子どもの生まれない運動」として、病気や障碍のある子どもが生まれないようにしようとした施策を省みれば、この検査を「いのちの選別」ではないというのは難しい。

しかし、それは新型出生前検査だけの問題ではなく、出生前診断とそれにかかわる医療全体の問題、いや、社会全体の問題だ。また、決して、検査を受ける女性の責任だけではないし、中絶という選択に問題を収束すべきではない。

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