ビジネス化する「新型出生前検査」、無認定施設が急増している深刻な事情

市場原理と医の倫理を考える
柘植 あづみ プロフィール

出生前検査のなかでは半世紀前から使われてきた羊水検査が一番知られている。この検査精度は高いが、子宮に針を刺すために、0.3パーセントから0.5パーセントに流産の危険性があるとされ、検査費用も高い。

流産の危険性がない出生前検査は2種類ある。一方は、妊娠した女性の血液成分を調べる母体血清マーカー検査と総称される検査である。トリプルマーカーとかクアトロテストとも呼ばれる。精度は低いが、採血だけで済み、費用は他に比べるとあまり高くない。もう一方が、精度も費用も高い新型出生前検査である。

超音波検査を除けば、日本で出生前検査を受けている人の割合は、年間の総出産数(総妊娠数の統計がないため総出産数で計算する)の1割未満に過ぎない。

徐々に増える傾向はあるが、ヨーロッパや北米のいくつかの国が妊婦の半数以上が受け(イギリス、アメリカなど)、妊婦の80パーセント以上が受ける国(デンマーク、フランスなど)もあることと比較すると、かなり低い。

 

認定を受けずに新型出生前検査を実施する理由

話しを戻そう。

2013年4月から日本産科婦人科学会の指針に従い、日本医学会(注:医学系の学術団体が加盟する組織)が認定した医療機関に限り、新型出生前検査を実施できるルールを設けた。認定された医療機関は、現在では全国におよそ100あり、産婦人科と小児科、さらには遺伝診療科をもつ大学病院や地域の中核病院などが多い。

ところが2016年ごろから、日本医学会が認定していない医療機関が、日本産科婦人科学会の指針を守らないでこの検査を実施しはじめた。

現在把握されているだけでも、認定されていない医療機関が全国に50以上ある。その多くはクリニックであり、産婦人科や小児科、遺伝診療科ではない。とくに、出生前検査を専門とはしない美容外科系が多いと報道されている。

認定外の医療機関による検査件数は徐々に増えているが、その実態がわからない。日本産科婦人科学会の指針に則って、日本医学会の認定を受けた施設で実施された検査の件数や結果は把握されている。

認定外の医療機関からは、検査件数や結果以外にも、結果後に出産に至ったのか、死産したのか、妊娠中絶されたのかも報告されない。これは検査技術の質の管理や検査を受けた人の心身の健康状態のサポートを考えれば大きな問題でもある。

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