アベノミクスで「雇用と賃金」は結局どうなったのか、数字で徹底検証する

雇用は500万増、じつは実質賃金も…

突然の辞意表明以来、その安倍政権の各政策について数多くの評価・批判が行われている。なかでも安倍政権発足時、またはそれに先立つ自民党総裁選以来の看板であった経済政策についての評論は多い。

ある者はその功績を讃え、ある者はそれを誹(そし)る。このように、大いに評価が分かれる議論考えるにあたっては、その成果を数字から検討するとよいだろう。ここでは雇用・賃金と当初のアベノミクスの「1本目の矢」である金融政策の関係を中心に考えていきたい。

なお、統計データ自体は客観的な事実であるが、その取捨選択が恣意性を免れることはない。ご存じの向きもあるだろうが、筆者はアベノミクス――そのなかでも大胆な金融政策の効果は大きく、今後もその強化や財政政策と連携してのさらなる発展が必要であると考えている点にご留意いただきたい。

〔PHOTO〕Gettyimages
 

雇用のアベノミクス

アベノミクスの功績として言及されることが最も多いのはその雇用拡大の効果であろう。総務省「労働力調査」に依拠すると、2010年~2012年にかけて5500万人前後で推移していた雇用者数は2019年半ばには6000万人に到達した。直近ではコロナショックの影響で雇用が大きく失われているが、それまでの実績では7年半で500万の雇用を創出したというわけだ。2002年から2008年のいわゆる「いざなみ景気」での雇用総数の増加が150万人程度であったことと比するとその増加は顕著である。

このように議論を進めると、「増えたのは非正規ばかりで、正規雇用は減少した」と思われる方もあるだろう。しかし、非正規雇用の増加と正規雇用の減少は2009年から2013年にかけては観察されるものの、2014年以降は正社員の増加の方が多い

正規雇用の数が最も少なくなった2014年はじめから2019年末にかけて正規雇用者数は250万人増加している。なお、非正規雇用の増加は高齢者と35歳以上の女性が中心であるため、必ずしも不本意な就労であるとは限らない点も注意が必要である。

関連記事

おすすめの記事