海猫沢めろんさんの最新刊『パパいや、めろん 男が子育てして見つけた17の知恵』は、作家の海猫沢めろんさんが男性の視点で書いた子育てエッセイ。FRaUwebでの連載をもとに加筆修正、コラムも加わってバージョンアップした一冊だ。息子が1歳になるころに半年ほどワンオペ経験もあるというめろんさんが、育児を通して身に染みて感じたリアルが満載だ。その中には「習い事」をテーマにした章もある。「習い事は早くさせれば才能が開花するのではないか」という疑問は多くの親が持っているのではないだろうか。

ところで、二ノ宮知子さんの漫画『のだめカンタービレ』のドラマが6年ぶりに地上波にて再放送される(関東圏のみフジテレビにて9月9日から平日15時50分~)。これはピアニストの父を持ち、ピアノもヴァイオリンも完璧な技術をもつ千秋真一と、譜面は読めずはちゃめちゃな演奏をするけれど天才的なピアノの才能を持つ「のだめ」こと野田恵を中心とした物語。音楽を通じて心が通う仲間とのやり取りが眩しく、「やっぱりピアノが弾けたら人生楽しいかも」「ヴァイオリンもやらせてみようかな」などという意見も出てきそうだ。

では「才能」を開花させるにはやはり「早期教育」が必要なのだろうか? 3歳のときに習い事について悩んだ体験を、『パパいや、めろん』に加筆修正のうえで掲載された連載ページを再編集の上、お届けする。

一刻も早くやらせなきゃ!

子供が3歳の頃、ぼくは焦っていた。

一刻も早くやらせなくてはいけない! 今すぐにでも! 今日にでも! とにかくやらせなくては始まらない! なにを!? 決まっている。

習い事」である。

育児のことがわからずひたすらマニュアルを読み漁っていたぼくは、「習い事は3歳から!」とか「絶対音感をつけたいなら早めに!」「英語のネイティヴ発音は子供の頃にしか身につきません!」とかいう言葉を鵜呑みにして、とにかく「早く習い事させないと手遅れになる!」という焦りを感じていた。

勉強だけではこの格差社会を生き抜けない。芸は身を助ける。世界にひとつだけのオンリーワンな才能を開花させるためにスキルを与えねば。我が子に眠った天才性を開花させてこの腐った世界を革命するイノベイターに育てあげなくてはならない。そのためには今すぐに「習い事」だ!

……というわけで新学期が始まり、そろそろ新たな環境にもなれてきたみなさま、いかがお過ごしだろうか。今回はみなさんも大好きであろう、夢と希望に満ちた「習い事」について、夢も希望もない話をしてみたい。夢と希望を求める人はいますぐディズニーランドやジャニーズコンサートにでも行ってください。