先日、コロナ禍において男性の育休取得の実現率が増加したという調査結果が発表された。自身も「コロナ禍出産」を経験したキャリアコンサルタントの境野今日子さんは、夫が育休を取得する際に「ある壁」が立ちはだかったという。調査を行った団体への取材の内容とともに、境野さんが自らの体験の中で感じた問題について綴ってもらった。

NPO法人ファザーリング・ジャパンとスリール株式会社が共同で8月に実施した「コロナ禍前後の妊娠出産に関するアンケート」(※)は、今起きている様々な現状を浮き彫りにしている。コロナ前とコロナ禍で比較すると、立ち会い出産が実現できた割合は87%から40%に。産後入院中のパートナーや家族との面会が実現できた割合は91%から20%と大きく下がった。他にも、病院・産院等で行われる両親学級や妊婦検診へのパートナーや家族の同伴についても、実現率はコロナ前と比べて50%以上も減少する結果となった。

このように、各項目の実現率がコロナ前を大きく下回る中、唯一実現率が上がったのが、父親の育児休暇・休業取得の項目だった。男性の育休取得を希望する人の中で、それが実現できた人の割合は、コロナ前が58%だったのに対し、コロナ禍では67%と、9%増となった。

「コロナ禍前後の妊娠出産に関するアンケート」より
※2020年8月11〜23日に、コロナ禍における全国の妊婦およびその配偶者、子育て中の男女558人を対象にネット上で実施したもの。

でも、男性の育休“希望者”はむしろ減っていた

ただ、男性全体に占める育休希望者の割合は、コロナ前が60%、コロナ禍が52%でむしろ下がっている。ファザーリングジャパンで理事を務める塚越さんは、この現状についてこう語る。

「コロナ禍で、企業や業種によっては本業の稼働率が低下して人員に余裕ができたり、テレワークやフレックスタイムなど平時よりも多様な働き方を認めざるを得ない企業が増えてきて、男性の育休取得を認めやすい状況が伺えます。実際、コロナ禍で里帰りできないという理由で夫の育休は取りやすかった、という声も聞かれます。

ただし、希望率を見ると、コロナ禍出産よりコロナ禍前出産のほうが高い。県をまたぐ移動制限や高齢者の感染リスクを恐れて実家のサポートに頼れず、第三者サービスにも頼れず、最後の砦として夫の育休に頼らざるを得ない実態を考えると、コロナ禍こそ夫の育休の希望者はもっと増えていいはずです。まだまだ多くの夫婦が、男性の育休実現は難しいという平時の思い込みに縛られている可能性があります