8月まで、韓国の輸出は6カ月連続で前年同月の実績を下回った。
輸出の地域別にみると、一時増加に転じた中国向けの輸出が減少した。
それは、韓国の対中国の競争力が徐々に低下しているとも解釈できる。
品目別にみると、半導体やコンピューター関連部品の輸出が増えている一方で、自動車や石油化学製品などの輸出が減少した。
足許の中国経済はまだら模様だ。
生産活動は急ピッチで回復しているが、それは主に財政出動に支えられている。
成長の限界を迎えた中国経済の先行きは不透明だ。
また、米中の対立は一段と先鋭化している。
今のところ、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は米中対立にどう対応するか明確な方針を示していない。
今後、韓国から中国向けの半導体などの先端IT製品などが制限されることになると、韓国の中国向けの輸出はさらに厳しい状況に追い込まれるだろう。
そうなると、韓国経済の成長率はさらに下押し圧力がかかる可能性が高い。
また、韓国国内では文氏の経済運営などへの批判や不安が高まっている。
コロナショックをきっかけに世界経済の構造変化が加速化している。
文政権下の韓国企業にとって、そうした変化に対応することは一段と難しくなるだろう。
これから韓国では、所得・雇用環境の悪化懸念の高まりをはじめ、社会全体で閉塞感が高まる恐れがある。