エリート証券マンの退職が止まらない!ヤバすぎる証券業界の人材流出

彼らが転身する「IFA」とは何か
浪川 攻 プロフィール

厳しい営業ノルマに押しつぶされ、篩(ふるい)から落とされる社員が一定比率、存在することをあらかじめ想定しているからこそ、退職、転職をネガティブに捉えない風土が醸成された、と言ったほうが妥当だからだ。

「会社に見切りをつけた」エリートたち

もっとも、2013年以降はアベノミクスで株式相場が回復するに伴い、一時、証券業界の中途退職は激減していた。

「最近、営業社員に対するプレッシャーが甘いのではないか」

かつてハードセールスで鳴らした証券OBの中には、保有する自社株が大幅な含み損を抱えていることへの不満もあってか、いまは幹部に出世している元部下たちにねじ込んだ人もいるという、"いかにも"な笑い話が流布されるほどに、営業社員が定着化した局面が続いていた。

ところが、である。ここ数年、再び、若手社員の退職が増え出していた。それも過去にはなかった形での再燃である。ノルマに押しつぶされた脱落パターンに代わって、近年は優秀な営業実績を上げ続けてきた若手社員の退職が相次いでいる。いわば、「会社に見切りをつけた」といえる新たな展開である。

大手証券ではエリートコースの代名詞ともいえる労働組合の委員長経験者が辞表を出したり、営業成績で社長表彰を受ける常連社員も退職したり、とにかく、話題は尽きない。

したがって、いかにトップ証券を舞台とした「優秀な若手の退職」といえども、それだけでは興味はそそられなかったのだが、気分は変わった。さっそく、野村を退職した若手二人の話を提供してくれた知人に依頼して、当事者たちに話を聞くことにした。

 

証券ビジネスの場合、優秀な人材という言葉からは百戦錬磨の「凄腕営業マン」という姿を思い浮かべやすい。脂ぎった押しの強さ、なりふり構わぬ"爺殺し"ぶり、相手の事情など頓着しない図太さ等々である。

実際にはそのようなタイプはかつてほど多くはなくなったが、それでも、財務大臣がいまだに証券会社を「株屋」と蔑む程度には存在していて、そのイメージを払拭し切れてはいない。ただし、利害得失がない限り、彼らはきわめて観察甲斐のある面白い傑物で、自然とその話術に引き込まれがちになる。

はたして、これから会う二人はどのような人物なのか。「新たなファンドを組成し、わが国にも投資の革命を起こす」というような大言壮語タイプなのか、それとも、ベンチャー経営者のようにラフな普段着に身を包んだいまどきの若者なのか。

想像を膨らませながら待ち合わせ場所に向かった。

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