アベノミクスの「真実」…次の政権に「円安」を期待しないほうがいいワケ

ここまで起きていたことを検証すると…
唐鎌 大輔 プロフィール

2013年5月に「起きたこと」

今一度、7年8か月前に起きた円安加速の背景を正確に理解しておきたい。

筆者はアベノミクス以前(すなわち民主党政権や白川前体制の日銀)の円高も、アベノミクス以後の円安も半ば「宿命」づけられた現象だったと考えている。この点を知ることの意義は大きい。

まず、最も重要な事実として、リーマンショック後、FRBが緩和路線からの撤退を本格的に示唆し始めたのが、第二次安倍政権発足直後となる2013年上期であったことは知っておきたい。とりわけ金融市場では2013年5月22日のバーナンキ元FRB議長が行った議会証言が正常化プロセスの号砲として知られている。

同証言においてバーナンキ元議長は「経済状況の改善継続を確認した上で、それが持続可能なものと確信した場合、今後数回の会合において資産購入額を縮小することは可能」と発言した。いわゆる量的緩和政策(QE)について、段階的縮小(テーパリング)を行う意思を公式に周知したのである。

FRBのバーナンキ元議長 photo/gettyimages
 

この発言を受けた金融市場では株を筆頭としてリスク資産が手放す動きが加速し、翌5月23日の日経平均株価は前日比▲1000円以上暴落した(ちなみに、これが第二次安倍政権発足後、怖いもの知らずだった日経平均株価にとって初めてのブレーキとなった)。金融市場ではバーナンキショック、もしくはテーパー癇癪(taper tantrum)として知られる出来事である。

その後、FRBはコミュニケーションに苦心しながらも市場心理をなだめすかしながら正常化プロセスを運営していくことになるが、2013年5月が「もはや危機対応は不要」というパラダイムシフトが起きた境目だったと言える。