アベノミクスとは何だったのか… photo/gettyimages

アベノミクスの「真実」…次の政権に「円安」を期待しないほうがいいワケ

ここまで起きていたことを検証すると…

アベノミクスが「円安」にした…?

8月28日、安倍総理は7年8か月という史上最長となる在任期間の末、健康問題を理由に辞意を表明した。本稿執筆時点では次期政権の全容がわかっていないため、今後の展望を語るタイミングとしてはふさわしくないと思う。一方で、すでに方々で論説が見られ始めているように、安倍政権の経済政策運営(以下アベノミクス)を総括するには最適のタイミングではないかと思われる。

総括すべき論点は多岐にわたるため、網羅するのは無理がある。だが、衆目の一致する論点として、リーマン・ショック以降で続いていた長く、厳しい「円高局面の反転」こそがその幕開けの象徴になったことは周知の通りだ。

安倍政権下で「円安」が進行したことは間違いないが… photo/gettyimages
 

恐らく、経済や金融に明るくない市井の人々にとってアベノミクスとは「大胆な金融緩和」であり、雑駁に言えば円安誘導と映ったはずである。アベノミクスが意識されるようになった2012年11月以降、ドル/円相場は最大で+60%弱上昇したのだから、そのような理解は無理もない話だ。

実際、安倍政権下で生まれた黒田日銀新体制の政策運営はその派手さ、大胆さという意味で歴史に類例を見ないものであり、「期待に働きかける」という掛け声もあって、陰に陽に円安相場の定着に一役買ったことは間違いない。

しかし、その円安の大前提として海外の経済・金融情勢や円の需給環境が重要な変化の節目を迎えていた事実を見逃してはならない。その大前提こそが円安の潮流を作り出した根本的要因であり、アベノミクスはその潮流を加速させる「追い風」のような位置付けだったという順序で筆者は理解している。

次期政権を迎える前の今のうちに「円安誘導という意味でのアベノミクス再現は困難」という事実を確認しておかねば、無駄に失望を被ることになる。

無駄な失望は次期政権に無理な政策的欲求をぶつける端緒になりかねない。