SDGsはグローバルな共通目標だけれど、国や地域によって課題は違います。それは経済的、社会的な格差だけでなく、伝統、文化、風土といった暮らしの環境にも影響されるもの。日本にフィットする持続可能な社会とは? 日本人の私たちができることは?

今回、お話を伺ったのは、モデルのマリエさん。ファーのハギレをパッチワークした帽子に、廃材を使ったラグ……。マリエさんが手がける〈パスカル マリエ デマレ〉は、ファッションを通して社会へ問題提起しています。

そろそろファッションは
次のフェーズへいかなきゃ。

この日、自身の名前を冠したファッションブランド〈パスカル マリエ デマレ(以下、PMD)〉のワンピースを身にまとって現れたマリエさん。トルコにある世界最大のデニム生地メーカー〈ISKO〉の、麻と綿で作られた生地を使ったワンピースだ。

「天然素材を使っていますが、SDGsってそれだけじゃない。〈ISKO〉は2020年までに80%をサステナブルな生地に変えるために数年前から取り組んでいるし、社員の福利厚生にも力を入れています。リベラルな会社の生地を使うことで、サステナブルな活動を応援したい」

ジビエの皮を利用したクッション。中身には廃材を詰めている。¥48000

ワンピースに限らず〈PMD〉のアイテムは、それぞれにストーリーがある。例えば、廃棄予定の端材を使ったラグや、ジビエの皮を使ったクッション、軍服の古着をアップサイクルしたポーチ……といった具合だ。

マリエさんは素材と出合うたびに課題と向き合い、ファッションを通して解決できる方法を模索する。そんな彼女に「これまでで特に印象深かった素材は?」と問うと、少し考えてから、「素材より人との出会いのほうが印象的かもしれない」と話しはじめた。

「ジビエの皮との出合いも、知人が山梨の山奥へ狩猟に連れていってくれたことがきっかけ。猟師さんに『皮はどうするんですか?』と聞いたら『野生で傷だらけだから売れないんだ』と。人間も動物も、どこも傷ついていないことが美しいのでしょうか。私は、傷ついて成長しながら美しくなっていくと思う

環境や職人さんの健康を考えて製作される岡山メイドのデニムを使用。リバーシブルジャケット¥62000

ブランドを通してマリエさんは“美しさ”を再定義する。それと同時に、生産背景についても積極的に発信している。

「例えば『オーガニックコットンがいい』とされている理由はあまり知られていない。大量生産のコットン畑では、小さな子どもたちが農薬まみれになりながら手伝っていて、オーガニックの畑の子どもより病気にかかりやすいと言われています。自分がそこに加担するかどうか。何にお金を払っているか知ってほしくて、生産背景を伝えています