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中露独自のワクチン開発に対抗…日本のCOVAX参加が英断だった理由

ワクチンの開発・供給をめぐる国際政治

コロナワクチンの南北格差

世界中で新型コロナウィルスの感染拡大が止まらない。安倍首相が退陣を発表した8月28日の午前中、政府は2021年前半までに全国民分のワクチンを確保する方針を明らかにした。英アストラゼネカおよび米ファイザーからぞれぞれ1億2000万回分のワクチンを購入できる見通しである。

ニューヨークにあるファイザー本社[Photo by gettyimages]
 

これらのワクチンは現在、最終段階(第3相)の臨床試験が行われている最中であり、この試験で有効性と安全性が確認されれば、2億4000万回分のワクチンを確保できることとなる。これは日本の全国民が2回ずつ打てるだけの量に相当する。たとえワクチンの有効性が低かったとしても、2回接種することで抗体獲得率を上げることができると期待されている。

日本のように高所得で人口の多い国々は、製薬会社との個別交渉によって、ワクチンが完成する前に先物買いが可能である。しかし低所得で人口の少ない国々は、自前でワクチンを調達するのが困難であるため、日本は先進国の一員として、自国のみならず地球全体の新型コロナ感染拡大を食い止めるための努力に参画する必要がある。

8月31日、日本政府はWHOなどが推進する「COVAX」というワクチン開発・分配の枠組みへの参加を表明した。

独自にワクチン開発を進める中ロ

米国のトランプ政権をはじめとして「自国第一主義」が広がる中、なぜ日本が世界全体のために貢献しなければならないのだろうか?

その理由の一つは、世界各国は「新型コロナウィルスの感染拡大を食い止める」ためのスキームに関与しており、それを自国の国際貢献の成果としてアピールすることで影響力拡大を図っているからである。特に中国とロシアは、開発途上国に積極的にワクチンを供給する姿勢を見せている。