中国の「根拠ある」尖閣侵入に、「不作為」日本がとるべき対策

まず領海法の制定を
小川 和久 プロフィール

強制措置の根拠法を持たない

ちなみに、5月に中国公船が日本漁船を追い回したのは、「棚上げ海域」から外れた尖閣諸島寄りの日本の領海内で、中国側も自国の領海だと主張している海域である。つまり中国側は、日中漁業協定に抵触することなく、従来の主張を確認する行動をとったことになる。

国連海洋法条約は、「国が所有または運航する船舶で政府の非商業的役務にのみ使用されるもの」に軍艦並みの治外法権を与えている。この種の「公船」が領海内の無害通航に関する規則に違反しても、沿岸国は退去を要求し、損害があったとき船の所属国に賠償を求めることしかできない。

日本が領海警備の根拠法としている「領海等における外国船舶の航行に関する法律」(2008年)も国連海洋法条約に準拠し、「公船」を適用除外としている。つまり、5月の事例のように中国公船が日本漁船を追い回しても、日本の法制度の現状では退去を要求するだけで、強制措置をとることはできない。

そのような日本と比べ、中国は国連海洋法条約を批准(1996年)しているだけでなく、それ以前に「領海および接続水域法」(1992 年、以下、領海法)を制定し、国連海洋法条約に縛られることなく、国の安全と海洋権益を守る姿勢を明確にしている。中国領海を侵犯した外国船に対して強制措置を講じるための国内的な根拠法を備えているのである。

 

つまり、今年に入っての尖閣諸島周辺での中国の行動は自国の領海法に基づいたもので、しかも国連海洋法条約や日中漁業協定に違反してもいなかったのである。

日本が中国と同等の「領海法」を備えていない現状では、中国は尖閣周辺の日本領海内で自由に行動できる状態にある。自国の領土・領海を守る根拠法を定めていない日本は、国家主権を守る強い意志を持たないとみなされているのだ。

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