菅義偉新政権が「9月解散」を狙う「これだけの事情」

そして最も揉めている「人事」とは?
福場 ひとみ プロフィール

過去を振り返ると、首相の突然の辞任に呼応する形で成立した政権はいずれも短命傾向にある。

小渕恵三総理の急逝をうけた森喜朗(2000年)。第1次安倍政権の首相辞任を受けて選出された福田康夫(2007年)。福田辞任後の麻生太郎(2008年)。いずれも約1年で政権を終えている。

これらの政権ではいずれも、緊急事態を口実にして、正式な党員による総裁選挙を経ず両院議員総会で総理が選出された。最初から正統性に欠けた総理でもあり、批判が多かった。

総裁選を経ず両議院総会で総理になろうとしている菅もそういう意味では同じパターンであり、菅政権も同じ轍を踏んで1年程度の政権で終わる可能性がないとはいえない。

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ただ、ひとつ違いを挙げるとすれば、菅は彼らと違って親から選挙区を引き継いだ世襲議員ではない。

福田、麻生のポスト安倍の二人の総理はいずれも二世議員であることが批判に拍車をかけたが、菅はダンボール工場での勤務経験など苦労話が国民からの共感を呼んで世論の反応は現状、好意的になっている。

とはいえ、支持率など脆いもので、今は良かったとしても今後政局がどう変わるかわからない。第1次安倍政権後の轍を踏まないためには、鉄は熱いうちに打てということなのだろう。この流れに乗って選挙で自民党が圧勝すれば、過去のポスト安倍政権とは違い、菅政権は十分な正統性をもった存在にすることができる。

 

「菅本人は、選挙区の情勢に詳しい。自分自身でくまなく見て情勢判断するのが得意な人だ。自ら勝てると判断すれば、勝負師として大胆な決断をするだろう」(ベテラン秘書)

すでに菅政権は始まっているかのように、動き出している――。