年下の彼との恋の心理描写が絶妙

そんなイマイチ状態のジナの前に現れるのが、4歳年下(31歳という設定)の親友の弟ソ・ジュニ(チョン・へイン)だ。ゲーム会社アートディレクターで、アメリカ支社に3年間勤務し、韓国本社に戻ってきたところで、ジナと再会する。家族ぐるみで20年近くつき合いがあるジナとジュニ。ジュニは彼女を韓国語でお姉さんを意味する「ヌナ」(実姉以外にも親しい間柄でも使用する)と呼ぶ、姉弟のような関係だ。

二人が再会するシーンもロングテイクならではのやさしい空気感がある。(C)Jcontentree corp. all rights reserved
ジュニ役のチョン・へイン。「ヌナ」と呼ばれたい人続出で『国民的年下彼氏』に。(C)Jcontentree corp. all rights reserved

ふたりは徐々に異性として意識し始めるのだが、「姉弟」同様に思っていたが故に、互いに自身の想いに動揺する。でも、自制しても心は勝手に動いてしまうし、相手が気になって仕方がない……。

アン監督は、このドラマの制作発表で「海外で起きている紛争問題より、愛する人の電話1本が気になり、ダイナミックな衝撃を与えることもある。それが恋愛というものだ」と語っていた。そんな止められない想いをセリフだけに頼ることなく、微妙な表情や音楽、街の空気など、総合的に表現している。そこが、観ている側もそこにいるような気持ちになり、疑似体験できる要素なのだ。

どちらから仕掛けるか……。恋の始まりのもどかしさも絶妙に描かれる。(C)Jcontentree corp. all rights reserved
ふたりが想いを確信するシーンでは、観ている側もドキドキしてしまう。(C)Jcontentree corp. all rights reserved

個人的に好きなのは、ジュニがジナをマンションの入り口まで送っていくシーンだ。たびたび出てくるこの「送りのシーン」は、ふたりの関係がうまく表現されている。最初は「じゃ!」と、一言だけでお互い背を向ける。しかし、送る回数を重ねるごとに、去り際が長くなる。振り向く回数が増える。気になってまた振り返る。扉を閉じたのに、また開いて追いかけてしまう。離れがたい、名残惜しいは、想いを示すバロメーターなのだ。

想いが深くなるほど帰り際の時間は長くなる(C)Jcontentree corp. all rights reserved