コロナ、テロ、麻薬、南シナ海…比ドゥテルテ政権の「四面楚歌」

現在75歳。任期満了まで残り約2年
大塚 智彦 プロフィール

健康問題、そして後継者問題

ドゥテルテ大統領は75歳という年齢からくる通常の高齢者が抱える各種身体的問題に加えて、以前からバレット食道炎(逆流性食道炎)と重症筋無力症という神経系機能不全の持病を抱えている。

そのため長期間マスコミの前に姿を現さなかったり、会見での顔色が優れなかったりした時などは、こうした持病の悪化がマスコミなどで取り沙汰される。

8月25日に会見したドゥテルテ大統領は、食道炎が悪化しており「ステージ1のガンに近づいている」と医師から警告を受けたことを明らかにした。このバレット食道炎は食道ガンへの変異リスクが高いといわれる病気で、ドゥテルテ大統領の発言は注目を集めた。

しかし、大統領府などは「警告を受けたのはかなり前のことで以来、特に悪化はしていない」と大統領健康不安説の払拭に懸命となった経緯がある。

また以前には公の場で、左の目の瞼が重いようで目が閉じてしまいそうな症状をみせ、それが「重症筋無力症」の影響で、同時に背中の痛みや内臓不調、睡眠不足による睡眠薬の服用などが明らかになり、「満身創痍」であることを印象付けた。

こうした健康問題から、2022年までの大統領任期が全うできるのかという疑問が出ていることは事実だ。

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次期大統領選での最も有力な後継者としては、ドゥテルテ大統領の長女でミンダナオ島ダバオ市のサラ・ドゥテルテ市長の名前が取り沙汰されている。サラ市長への国民の支持が全国的に高まり選挙戦での有利が確実となることで、かつての「マルコス王朝」を彷彿とさせる「ドゥテルテ王朝」を狙っているのではないか、との見方もでている。

フィリピンの大統領選は国民による直接選挙制だが、任期途中の辞任は副大統領が昇格して残る任期を全うする規定になっている。

 

しかし現在のレニー・ロブレド副大統領は野党「自由党」所属であるため、ドゥテルテ大統領は以前から「絶対に任期は全うする」と明言しており、「満身創痍」でも任期を全うして娘の大統領選勝利への道筋をつけることに全力を尽くす腹積もりといわれている。

あと約2年、ドゥテルテ大統領の命がけの政権運営が四面楚歌の中で続く。