コロナ、テロ、麻薬、南シナ海…比ドゥテルテ政権の「四面楚歌」

現在75歳。任期満了まで残り約2年
大塚 智彦 プロフィール

コロナ対策は誰のため

フィリピン政府は、「厳しい防疫地区の設定による人やモノの出入りの制限」「3密状態の回避」「保健衛生上のルール違反者への罰金を含めた厳しい措置」などを講じているにもかかわらず、感染者数の増加傾向に歯止めがかからない状況が続いている。

マニラ首都圏では現在の「一般防疫地域(GCQ)」を感染拡大に歯止めがかからないことなどを理由に感染症や公衆衛生の専門家などはさらに強化された「修正防疫強化地域(MECQ)」への格上げを主張している。

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ところがコロナ対策の責任者の1人であるフランシスコ・ドゥケ保健相は「防疫体制の強化はフィリピン経済にとって取り返しのつかない大きな打撃を与える」と否定的な見解を示し、「保健相が健康問題より経済問題を懸念するのは筋違い」「一体誰のためのコロナ対策なのか」との批判を招き、ドゥテルテ大統領も頭を抱えているという。

連続爆弾テロ、次なるテロへの懸念

8月24日、南部スールー州ホロ島のホロ市内で連続爆弾テロが発生し、16人が死亡、75人が負傷した。これまでの捜査で、2件とも自爆テロによる犯行で自爆犯は2人とも女性の可能性が高まっている。

同州は中東のテロ組織「イスラム国(IS)」に同調するイスラム教テロ組織「アブ・サヤフ」の活動拠点となっており、これまでも爆弾テロ、自爆テロ、銃撃戦が頻発している地域だった。

8月30日、ホロ市の事件現場を訪れたドゥテルテ大統領は、花束を捧げて犠牲者を追悼するとともに負傷者の回復を祈った。

 

「フィリピン人として治安部隊がアブ・サヤフを根絶するために実施するいかなる作戦も支持する。テロリストである彼らにはもうフィリピンでは将来などない」とテロとの戦いを強い決意で勝ち抜く覚悟を示した。

しかし「アブ・サヤフ」の爆弾専門家ら重要指名手配容疑者は依然として逃走中でスールー州、さらにミンダナオ島のサンボアンガ州、そして首都圏マニラなどでもさらなるテロへの警戒感が高まっており、国民はコロナとテロという2つの目に見えない脅威への警戒を余儀なくされている。