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安倍首相の評価は真っ二つ…「アベノミクス」の成功と失敗をどう見るか

「同じ政策を続けたこと」はダメだった

安倍首相の評価が分かれる理由

その日は突然やってきた。8月28日、7年8カ月続いた「安倍一強体制」は総理の持病悪化による辞任によって予想外のタイミングで幕引きとなった。

第二次安倍政権ほど賛否がはっきり分かれた政権も珍しい。政権支持率は、発足当時は期待から高く、その後徐々に落としていくのが一般的なパターンである。

第二次安倍政権の支持率も紆余曲折があったものの、全体的にはこの一般的なパターンの範囲内だった。第二次安倍政権と他の政権との違いが鮮明になったのは辞任後だった。

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世間が驚かされたのは、安倍総理辞任会見直後に実施された世論調査で支持率が急上昇したことだった。

日本経済新聞の8月世論調査での支持率は55%と前月比12%上昇し、共同通信の調査でも56.9%と前週比20.9%も上昇した。辞任発表後の支持率急上昇に対しては、「辞任を歓迎した」といった冷ややかなものから、「アベノミクスの成果に対する敬意」といった前向きのものまで様々な見方が出ている。

このように評価が大きく分かれる原因は、基準を「政治姿勢」に置くか、「経済政策」に置くかの違いによるものだと思われる。

 

総裁選に立候補した岸田政調会長が「国民の声を丁寧に聞く、人の声を“聞く力”。こうしたものも政治に求められるのではないかと思う」と「聞く力」を強調し、石破元幹事長が「国民を信じて“共感と納得”の政治を目指す」として「納得と共感」をスローガンに掲げているのは、安倍政権の問題が「政治姿勢」にあったとみているからである。逆説的にいえば「経済政策」には批判する隙がないということでもある。

確かに「経済政策」という点においては、2012年12月に「大胆な金融緩和」を掲げた第二次安倍政権の誕生によって、1ドル=80円前後の超円高局面から脱し、8000円前後で低迷していた株価も3倍までになった。

こうした円安・株高に加えて、3000万人をこえる訪日外国人によるインバウンド需要を創造したことで企業業績は大幅に伸び、有効求人倍率も1倍を超えるまで上昇した。