防衛省のやる気ナシ…「イージス・アショア断念」最大の問題は何だったか

見事なまでの「政治案件」その深層
半田 滋 プロフィール

見事なまでの政治案件だった

2017年2月10日、安倍首相は就任して間もないトランプ米大統領とワシントンで最初の首脳会談に臨んだ。この会談から5日後の参院本会議で、首相はトランプ氏から迫られた米国製武器の追加購入を表明している。

これを受けて自民党政調会が検討チームをつくり、翌3月には「ミサイル防衛の強化」を提言。この提言をもとに防衛省は同年5月、イージス・アショアを導入する方針を固め、8月には当時の小野寺五典防衛相が米政府に導入の意向を伝えている。

電光石火で決まった導入の経緯を振り返れば、「安倍一強」のもと、自民党と防衛官僚による出来レースが展開され、イージス・アショアは国防上の必要性からではなく、「導入ありき」で進んだ見事なまでの政治案件であることがわかる。

そして同年12月、安倍内閣はイージス・アショアの導入を閣議決定する。この閣議決定後、イージス・アショアは陸上自衛隊が運用することが決まる。

すでに海上自衛隊はイージス護衛艦から発射する艦対空迎撃ミサイル「SM3」を運用し、また航空自衛隊は地対空迎撃ミサイル「PAC3」を担当しており、ミサイル防衛システムに参加していないのは陸上自衛隊だけだったからだ。

その後、内局と陸上自衛隊でどのようなやり取りがあったのかはわからない。しかし、配備の決定から断念に至るまで内局と陸上自衛隊がイージス・アショアの配備をまじめに進めたとは到底思えない。

 

ケチの付き始めは、職員による「グーグルアース」のデータの読み間違えだった。秋田市の新屋演習場を適地と判断するのに際し、19カ所の候補地のうち、9カ所でレーダー波を遮る山の仰角の数値を過大に計算して「不適」と断定していた。

このことを謝罪するために防衛省が秋田市で開いた説明会で職員の一人が居眠りしていたことに住民が激怒し、住民との対立は決定的になった。

適地とされた秋田市の新屋演習場=筆者撮影